2004年 10月 19日
全国紙のビジネスモデル |
以前から「地方紙の参加型ジャーナリズムのビジネスモデルの可能性の1つは、ブログなどを使ったコミュニティーサイト。しかし全国紙のビジネスモデルがまだ思いつかない」と何度か書いた。しかし今日、ふとしたことで全国紙の参加型ジャーナリザムのビジネスモデルを思いついた。
それは記者ブログである。「週刊!木村剛」が試みている「ブロガー新聞」のようなものを、編集委員クラスの記者にそれぞれ運営させるのだ。全国紙1社で「週刊!木村剛」のようなブログを20個くらいは立ち上げ可能。「週刊!木村剛」は一日数万人のアクセスがあるというから、単純計算でも100万人のユニークユーザーを獲得できる。
もちろんすべての記者ブログが木村さんのような集客力を持てるわけではない。しかし、「記者ブロガー」を育てる努力は始めるべきだろう。試行錯誤の中で、スター記者ブロガーを育てることにいち早く成功すれば、その社のニュースサイトが参加型ジャーナリズムのデファクトスタンダードになる可能性がある。日本のポータルのデファクトスタンダード(事実上の標準)はヤフーである。多くの日本人ユーザーにとってヤフーは最初にアクセスするサイトであり、広告もヤフーに集中している。ヤフーが一人勝ちの状態だ。ネットビジネスの多くは、勝者を一人しか許さない。デファクトスタンダードの世界だ。
しかしニュースサイトに限っては、デファクトスタンダードはまだ確立していない。ライブドアの堀江社長はインタビューの中で、報道に進出する理由として、ニュースサイトのデファクトスタンダードがまだ確立していないので今なら勝算がある、といった内容の発言をしている。
韓国のマスコミは、既存マスコミにとって記者ブログが参加型ジャーナリズムへの近道であることに既に気づいている。ブログを積極活用する朝鮮日報でも書いたが、韓国の既存マスコミはスター記者ブロガーの育成を急いでいるようだ。ライブドアが目指す?韓国オーマイニュースの中で紹介した京都経済新聞社社長の築地達郎さんの手記の中にも、同様の指摘がある。
しかしコラムニストのブログでビジネスをどう展開すればいいのだろう、というのがこれまでのわたしの疑問だった。今日、その疑問があっけなく氷解した。氷解させてくれたのが、電通の濱田逸郎さんの一言だ。このブログでも何度か濱田さんのことは書いたが、濱田さんはわたしの心の葛藤をたった一言で取り払う不思議な能力がある。
濱田さんは「何を言っているんだ」というようなあきれ顔で、こう言い放った。「人さえ集まればビジネスモデルなんてあとでついてくる」。
「人が集まり始めれば、広告主が浮き足立ってくるものさ」と濱田さん。広告のプロの一言だけに、重みがあった。
確かにライブドアの堀江社長も電通総研の広報誌のインタビューに答えて、ブログの今後を次のように語っている。
すべての報道機関やニュースサイトにとって、記者ブログが答えではないかもしれない。しかしデファクトスタンダードの地位を獲得したニュースサイトなら、多くの人が集まり十分な利益を上げられるようになるのではなかろうか。
ネットビジネスは、双方向を取り入れて集客に努めることが肝心。人が集まればビジネスはあとからついてくる--。
大手報道機関のうち、どこが最初にこのことに気づき、勇気を持って一歩踏み出すことができるのだろうか。
それは記者ブログである。「週刊!木村剛」が試みている「ブロガー新聞」のようなものを、編集委員クラスの記者にそれぞれ運営させるのだ。全国紙1社で「週刊!木村剛」のようなブログを20個くらいは立ち上げ可能。「週刊!木村剛」は一日数万人のアクセスがあるというから、単純計算でも100万人のユニークユーザーを獲得できる。
もちろんすべての記者ブログが木村さんのような集客力を持てるわけではない。しかし、「記者ブロガー」を育てる努力は始めるべきだろう。試行錯誤の中で、スター記者ブロガーを育てることにいち早く成功すれば、その社のニュースサイトが参加型ジャーナリズムのデファクトスタンダードになる可能性がある。日本のポータルのデファクトスタンダード(事実上の標準)はヤフーである。多くの日本人ユーザーにとってヤフーは最初にアクセスするサイトであり、広告もヤフーに集中している。ヤフーが一人勝ちの状態だ。ネットビジネスの多くは、勝者を一人しか許さない。デファクトスタンダードの世界だ。
しかしニュースサイトに限っては、デファクトスタンダードはまだ確立していない。ライブドアの堀江社長はインタビューの中で、報道に進出する理由として、ニュースサイトのデファクトスタンダードがまだ確立していないので今なら勝算がある、といった内容の発言をしている。
韓国のマスコミは、既存マスコミにとって記者ブログが参加型ジャーナリズムへの近道であることに既に気づいている。ブログを積極活用する朝鮮日報でも書いたが、韓国の既存マスコミはスター記者ブロガーの育成を急いでいるようだ。ライブドアが目指す?韓国オーマイニュースの中で紹介した京都経済新聞社社長の築地達郎さんの手記の中にも、同様の指摘がある。
「この国ではもうニュースは有料で売れない」。ソウルの中堅新聞で論説委員を務める知人は、真顔でこう言った。(中略)同国では、2年前にスタートした無料日刊新聞「METRO」も成功している。同紙はスウェーデン発祥で世界展開する無料紙METROの韓国版だ。日本の共同通信社に当たる聯合(ヨンハップ)通信社が創刊に関与したことで、一般紙と同じ量と質の記事が無料紙に載る。ネット上のOhmyNewsと紙のMETROの挟撃にあって、同国では「ニュースはお金を払って手に入れるもの、という観念が消え去ってしまった」(論説委員)。 別れ際、知人がこんなことを言った。
「紙の新聞の可能性はオピニオンしかない。10人の有力なコラムニストを揃えることができた社が生き残ると思う。(大手に押されてきた)ウチにもチャンスかもね」。彼のイメージは、野球で言えば松井秀喜や中村紀洋のような名選手を10人揃えるという感じだ。韓国ではおそらく今後、そうした有力コラムニストの報酬はウナギ上りになるのだろう。
しかしコラムニストのブログでビジネスをどう展開すればいいのだろう、というのがこれまでのわたしの疑問だった。今日、その疑問があっけなく氷解した。氷解させてくれたのが、電通の濱田逸郎さんの一言だ。このブログでも何度か濱田さんのことは書いたが、濱田さんはわたしの心の葛藤をたった一言で取り払う不思議な能力がある。
濱田さんは「何を言っているんだ」というようなあきれ顔で、こう言い放った。「人さえ集まればビジネスモデルなんてあとでついてくる」。
「人が集まり始めれば、広告主が浮き足立ってくるものさ」と濱田さん。広告のプロの一言だけに、重みがあった。
確かにライブドアの堀江社長も電通総研の広報誌のインタビューに答えて、ブログの今後を次のように語っている。
面白いことは広がるから、そこに必ずトランザクションは派生するし、たくさんの人がいるところに市場は生まれるわけですから。ブログを通してたくさんの人が取引を始めるわけですよ。トランザクションが増えれば増えるほど、そこに対して広く薄く課金をしていけばいいんですよ。ビジネスは、あとで考えればいいんです。
すべての報道機関やニュースサイトにとって、記者ブログが答えではないかもしれない。しかしデファクトスタンダードの地位を獲得したニュースサイトなら、多くの人が集まり十分な利益を上げられるようになるのではなかろうか。
ネットビジネスは、双方向を取り入れて集客に努めることが肝心。人が集まればビジネスはあとからついてくる--。
大手報道機関のうち、どこが最初にこのことに気づき、勇気を持って一歩踏み出すことができるのだろうか。
by tsuruaki_yukawa
| 2004-10-19 00:16
| ビジネスモデル