2005年 11月 14日
米新聞業界が後押しするトピックス・ドット・ネット |
▼米新聞業界が後押しするトピックス・ドット・ネット
グーグルニュースを進化させたようなサイトが米国に存在する。総合ニュースサイト、トピックス・ドット・ネットがそれだ。
日本のグーグルニュースは600以上の情報ソースからの記事を収集してくるが、トピックスはネット上の約1万2000の新聞や、雑誌、テレビ、ラジオなどのニュースサイトなどからニュースを収集している。配信契約を結んで、ニュースサイトで公開されていないニュースなども情報ソースとして取り込んでいる。警察や自治体、企業、団体などの発表文も情報ソースとして取り込んでいる。
これを約3万の地域ジャンルに細分化する。全米を約3万の地域に分けて、それぞれの地域ごとのページを用意してあるわけだ。
また約30万のトピックジャンルにも細分化している。政治、経済、スポーツなどの大きなジャンルはもちろんのこと、株式を公開しているすべての企業や、スポーツの球団ごとに専用のニュースページを用意している。
ユーザーは自分の地域に関するニュース、自分の関心事を中心にしたニュースだけを効率よく読むことができるわけだ。
ビジネスモデルは、広告とニュース配信。地域やトピックのジャンルが細かく指定できるので、ターゲット層に向けた高い広告効果を期待できるとしている。またポータルサイトやニッチな情報サイト向けに、特定ジャンルのニュースを再配信しているという。
トピックスの従業員は10人程度。当然、人工知能が裏でカタカタと動き、ジャンル分けを全部自動で行っている。
トピックスの将来性を見込んだ出資申し込みが相次いだようだが、トピックスは2005年3月にガネット社、ナイトリダー社、トリビューン社の3社からの出資を受け入れることにした。ガネット社はUSAトゥデーなどの110の日刊紙、21のテレビ局などを傘下に持つ巨大メディア企業、ナイトリッダーは31紙を持つ新聞業界2位の持ち株会社、トリビューンはロサンゼルス・タイムズやシカゴ・トリビューンなどを傘下に持つ業界大手だ。3社とトピックスの創業者が、株式を25%ずつ持つことになった。トピックスは、米新聞業界が後押しするベンチャー事業になったわけだ。
トピックスはやがてEPICのようにブログの記事なども情報ソースとして追加するのではなかろうか、とわたしは早くから考えていた。やはり予想通り、トピックス・ドット・ネットは05年11月からブログの記事も取り込むことになった。
一定以上の質を期待できる新聞記事と異なり、ブログの記事は玉石混交。石の中からどのように玉を見つけるのかは興味深いところだが、その辺りの苦労がトピックスの幹部の公式ブログにつづられている。
ブログの総数は2000万とも1億ともいわれるが、大事なのアクティブなブログの数。開設したもののいっこうに更新されないブログも多い。また更新される記事の多くはスパム、いわゆるアダルトサイトなどの広告目的の記事である場合が多い。
トピックスが調べたところによると、日々の最新記事の85%から90%はスパム記事だという。またスパム記事を発信しない残りのブログの半分は、60日以上更新がない。つまり95%以上のブログは、情報ソースとはなりえないということだ。。
トピックスでは、残った約100万のブログの中から、更新頻度や、文章スタイル、人気などの基準を合わせた独自の計算式で、約1万5000のブログを情報ソースとして実験的に選出した。
これを報道機関の1万2000の情報ソースと並んで表示させるわけだ。トピックスでは新聞記事とブログ記事を同格として扱うつもりだそうが、今のところはブログの記事であることが一目瞭然であるようにブログ記事をハイライトしている。これも実験の一環であり、今後読者からの意見なども聞いて表示の仕方を工夫するとしている。
興味深いのは、ジャンル分けした場合の報道機関の記事とブログ記事の本数の違いだ。報道機関のニュースサイトの読者層とブロガーの層の違いからくるのだろう。報道機関の記事は、ローカル、スポーツなどのジャンルでは報道機関の記事が多く、ビジネス、エンターテーメント、ライフ(生活面)、テクノロジーのジャンルではブログの記事が多い。
トピックスでは、ブログ記事を情報ソースとして取り込んだことで、「アップルコンピュータ」や「写真」「リナックス」「ファーストフード」「デジタルカメラ」「ソニーPSP」などのジャンルの記事に厚みが出たとしている。
ブログをも取り込んだトピックス・ドット・ネット。ますますもってEPICに近づいてきているのでは、なかろうか。
脚注
トピックス・ドット・ネット
http://www.topix.net/
ブログ取り込みに関するトピックス・ドット・ネットの公式ブログエントリー
http://blog.topix.net/archives/000082.html
新聞持ち株会社による買収に関する公式ブログエントリー
http://blog.topix.net/archives/000071.html
報道機関の記事のジャンルとブログのジャンルの比較の図
原典:トピックス・ドット・ネットの公式ブログエントリー
画像のURL
http://blog.topix.net/blog-msm-bar-small.jpg
著者注:本として出版するための原稿ですが、未完成なものです。間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
グーグルニュースを進化させたようなサイトが米国に存在する。総合ニュースサイト、トピックス・ドット・ネットがそれだ。
日本のグーグルニュースは600以上の情報ソースからの記事を収集してくるが、トピックスはネット上の約1万2000の新聞や、雑誌、テレビ、ラジオなどのニュースサイトなどからニュースを収集している。配信契約を結んで、ニュースサイトで公開されていないニュースなども情報ソースとして取り込んでいる。警察や自治体、企業、団体などの発表文も情報ソースとして取り込んでいる。
これを約3万の地域ジャンルに細分化する。全米を約3万の地域に分けて、それぞれの地域ごとのページを用意してあるわけだ。
また約30万のトピックジャンルにも細分化している。政治、経済、スポーツなどの大きなジャンルはもちろんのこと、株式を公開しているすべての企業や、スポーツの球団ごとに専用のニュースページを用意している。
ユーザーは自分の地域に関するニュース、自分の関心事を中心にしたニュースだけを効率よく読むことができるわけだ。
ビジネスモデルは、広告とニュース配信。地域やトピックのジャンルが細かく指定できるので、ターゲット層に向けた高い広告効果を期待できるとしている。またポータルサイトやニッチな情報サイト向けに、特定ジャンルのニュースを再配信しているという。
トピックスの従業員は10人程度。当然、人工知能が裏でカタカタと動き、ジャンル分けを全部自動で行っている。
トピックスの将来性を見込んだ出資申し込みが相次いだようだが、トピックスは2005年3月にガネット社、ナイトリダー社、トリビューン社の3社からの出資を受け入れることにした。ガネット社はUSAトゥデーなどの110の日刊紙、21のテレビ局などを傘下に持つ巨大メディア企業、ナイトリッダーは31紙を持つ新聞業界2位の持ち株会社、トリビューンはロサンゼルス・タイムズやシカゴ・トリビューンなどを傘下に持つ業界大手だ。3社とトピックスの創業者が、株式を25%ずつ持つことになった。トピックスは、米新聞業界が後押しするベンチャー事業になったわけだ。
トピックスはやがてEPICのようにブログの記事なども情報ソースとして追加するのではなかろうか、とわたしは早くから考えていた。やはり予想通り、トピックス・ドット・ネットは05年11月からブログの記事も取り込むことになった。
一定以上の質を期待できる新聞記事と異なり、ブログの記事は玉石混交。石の中からどのように玉を見つけるのかは興味深いところだが、その辺りの苦労がトピックスの幹部の公式ブログにつづられている。
ブログの総数は2000万とも1億ともいわれるが、大事なのアクティブなブログの数。開設したもののいっこうに更新されないブログも多い。また更新される記事の多くはスパム、いわゆるアダルトサイトなどの広告目的の記事である場合が多い。
トピックスが調べたところによると、日々の最新記事の85%から90%はスパム記事だという。またスパム記事を発信しない残りのブログの半分は、60日以上更新がない。つまり95%以上のブログは、情報ソースとはなりえないということだ。。
トピックスでは、残った約100万のブログの中から、更新頻度や、文章スタイル、人気などの基準を合わせた独自の計算式で、約1万5000のブログを情報ソースとして実験的に選出した。
これを報道機関の1万2000の情報ソースと並んで表示させるわけだ。トピックスでは新聞記事とブログ記事を同格として扱うつもりだそうが、今のところはブログの記事であることが一目瞭然であるようにブログ記事をハイライトしている。これも実験の一環であり、今後読者からの意見なども聞いて表示の仕方を工夫するとしている。
興味深いのは、ジャンル分けした場合の報道機関の記事とブログ記事の本数の違いだ。報道機関のニュースサイトの読者層とブロガーの層の違いからくるのだろう。報道機関の記事は、ローカル、スポーツなどのジャンルでは報道機関の記事が多く、ビジネス、エンターテーメント、ライフ(生活面)、テクノロジーのジャンルではブログの記事が多い。
トピックスでは、ブログ記事を情報ソースとして取り込んだことで、「アップルコンピュータ」や「写真」「リナックス」「ファーストフード」「デジタルカメラ」「ソニーPSP」などのジャンルの記事に厚みが出たとしている。
ブログをも取り込んだトピックス・ドット・ネット。ますますもってEPICに近づいてきているのでは、なかろうか。
脚注
トピックス・ドット・ネット
http://www.topix.net/
ブログ取り込みに関するトピックス・ドット・ネットの公式ブログエントリー
http://blog.topix.net/archives/000082.html
新聞持ち株会社による買収に関する公式ブログエントリー
http://blog.topix.net/archives/000071.html
報道機関の記事のジャンルとブログのジャンルの比較の図
原典:トピックス・ドット・ネットの公式ブログエントリー
画像のURL
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著者注:本として出版するための原稿ですが、未完成なものです。間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
by tsuruaki_yukawa
| 2005-11-14 18:40
| 本の原稿