2004年 11月 15日
日本でネットとリアルの社会が分断されている理由 |
日本では、ネット上の「世論」とリアルの社会の世論とが異なることが多い。ネット上で話題になったことは、マスコミが取り上げない限りリアルの社会で「話題」になることがほとんどない。ネット上の社会とリアルの社会の間には、溝が存在するようだ。溝の上には橋がかかっていて門番が情報の行き来を制御している。その情報の門番がマスコミだ。
米国でも数年前までは、その門番の役割をマスコミが演じてきた。しかし最近では門番の立つ橋を通らずに別のルートで流れる情報も増えてきているように思う。ブログのエントリーが引き金となり株価が動いたり、今回の大統領選では多くの一般市民がマスコミだけでなくブログからも情報を取得していたからだ。
なぜ日米にこのような格差があるのだろうか。1つには歴史的の違いがあるだろう。米国ではインターネットは10年近く前から、一定料金で使い放題。日本では、使い放題のブロードバンド利用者が増え始めてまだ1,2年。ようやく多くの日本人の生活の一部になり始めたというところだ。また掲示板に比べ責任ある議論が多いとされるブログも、米国では数年前から普及していたが、日本では1年前から普及が始まったばかり。質の高い議論が増えてきている中で、情報源としてのネットの地位が日本でも今後高まっていくような気がする。
日米に格差があるもう1つの理由は、社会の実権を握る年齢層の違いにあるのではないかと思う。日米財界人会議を何度か取材したことがある。日本の財界人の多くが60代であるのに対し、米国の財界人の多くは50代、中には40代経営者もいたように思う。
米国では実権を握る年齢層がネットを積極的に利用する。部下にも当然ながらネット利用を勧める。このためネットの「世論」とリアルの世論がそれほど異なることがないのだと思う。一方、日本では社会の実権を握る年齢層がネットに精通していないため、ネットにアンダーグラウンドなイメージがつきまとうのではなかろうか。わたしの属する新聞業界でも、経営に近い人たちの間で「ネットを使うような記者はだめだ」という主張をいまだによく耳にする。
ということは、あと何年かしてネットを使う層が社会の実権を握り始めたら、ネットの「世論」が社会の世論に融合し始めるのではないだろうか。
「日本人は議論が嫌いなのでブログは普及しない。ネット上の議論が世論を形成することもない」という主張を何度か耳にしたことがる。このところのブログの普及ぶりをみても、とりあえず、前半の予測が外れたことは確かだ。後半の予測はどうだろう。あと何年かしてネットがより多くの人の生活の一部になり、しかもネット世代が社会の実権を握るようになったら・・・。わたしは、そのときこそ新しい形のジャーナリズムが花開くような気がしてならない。
米国でも数年前までは、その門番の役割をマスコミが演じてきた。しかし最近では門番の立つ橋を通らずに別のルートで流れる情報も増えてきているように思う。ブログのエントリーが引き金となり株価が動いたり、今回の大統領選では多くの一般市民がマスコミだけでなくブログからも情報を取得していたからだ。
なぜ日米にこのような格差があるのだろうか。1つには歴史的の違いがあるだろう。米国ではインターネットは10年近く前から、一定料金で使い放題。日本では、使い放題のブロードバンド利用者が増え始めてまだ1,2年。ようやく多くの日本人の生活の一部になり始めたというところだ。また掲示板に比べ責任ある議論が多いとされるブログも、米国では数年前から普及していたが、日本では1年前から普及が始まったばかり。質の高い議論が増えてきている中で、情報源としてのネットの地位が日本でも今後高まっていくような気がする。
日米に格差があるもう1つの理由は、社会の実権を握る年齢層の違いにあるのではないかと思う。日米財界人会議を何度か取材したことがある。日本の財界人の多くが60代であるのに対し、米国の財界人の多くは50代、中には40代経営者もいたように思う。
米国では実権を握る年齢層がネットを積極的に利用する。部下にも当然ながらネット利用を勧める。このためネットの「世論」とリアルの世論がそれほど異なることがないのだと思う。一方、日本では社会の実権を握る年齢層がネットに精通していないため、ネットにアンダーグラウンドなイメージがつきまとうのではなかろうか。わたしの属する新聞業界でも、経営に近い人たちの間で「ネットを使うような記者はだめだ」という主張をいまだによく耳にする。
ということは、あと何年かしてネットを使う層が社会の実権を握り始めたら、ネットの「世論」が社会の世論に融合し始めるのではないだろうか。
「日本人は議論が嫌いなのでブログは普及しない。ネット上の議論が世論を形成することもない」という主張を何度か耳にしたことがる。このところのブログの普及ぶりをみても、とりあえず、前半の予測が外れたことは確かだ。後半の予測はどうだろう。あと何年かしてネットがより多くの人の生活の一部になり、しかもネット世代が社会の実権を握るようになったら・・・。わたしは、そのときこそ新しい形のジャーナリズムが花開くような気がしてならない。
by tsuruaki_yukawa
| 2004-11-15 07:58