2004年 11月 23日
「記者ブログのルールとは」の続き |
前回のエントリーに関し、ご意見をたくさんいただいた。みなさん、ありがとうございます。
記者ブログのルールは、「めたか」さんのおっしゃる通り「新聞社の方でルール決めすべき事でしょう、ですが、」これからルールを作られる各社の参考になればと思い、みなさんの意見を聞いたわけです。
みなさんの意見を踏まえた上で、わたしの意見もここに書かせていただきたいと思う。
▼ 被取材者はもうからない
fareasterさんが「被取材者はもうからない」とおっしゃる通り、宣伝などを目的とした取材協力以外、取材される側の人間が「もうかる」ことはありえない。
「広く知らしめる」以外にも、民主主義社会における報道の意義を理解して協力してくれる場合もあるだろう。
無償どころか時間というコストを払ってまでも取材に協力してくれるのだから、記者は協力者の意向を記事に反映させる努力をすべきだろう。もちろん協力者の意向に反してでも真実を伝えなければならない場合も少なくはない。それでも基本的なルールは、協力者の意向をくみ取ることであると思う。「協力者の意向など気にせずに思った通り書けばいい」という考えはマスコミの特権意識の現れであり、思い上がりである、とわたしは思う。違うだろうか。
▼名刺を差し出す意味
わたし自身、取材されて初めて気づいたのだが、取材されるというのは実に嫌なものだ。記者が帰ったあとで、自分の真意が伝わったかどうか、誤解を与えるような書き方で引用されはしないか、などといろいろ気にかかる。心ある記者は、できあがった原稿を出稿前に見せてくれた。掲載される雑誌の前月号をくれる記者もいた。こうした心遣いで取材される側はずいぶんと安心するものだ。
しかし締め切り時間の関係で、そうした心遣いができない場合がある。特に新聞の場合はそうだ。時間の制約の中で原稿を前もって見せることはほとんど不可能だ。取材の目的、どのような媒体にどのように掲載するつもりか、を長々と説明する時間がない場合もある。
そこで名刺を一枚渡す。「ご安心ください。できる限りご意向にそう形で報道します」という思いを込めて名刺を渡す。取材協力者が名刺に書かれた媒体名を信頼して、話を始めてくれることもあろと思う。
その媒体の信頼感は、先輩記者が長年かけて築き上げてきたものだ。
だからこそ、名刺の信頼感を損ねるよう取材をする記者や、災害現場で傍若無人に振る舞う記者に対しては、業界内でも怒りの声が上がるわけだ。信頼は築くのに時間がかかっても、崩すのは一瞬だからだ。(もう信頼は崩れているという意見もあるかと思います)
「れじい」さんは「取材される側は名刺を見て、新聞社の取材だから新聞に掲載されることを前提として取材されたはず。(中略)ブログに掲載することがある、と断っておくべきでしょう」としている。
▼それでも書かなければならないこと
ただなるべく協力者の意向に沿いたいと思っていても、意向に反してでも書かなければならないことは結構あるものだ。伝えたい真実、伝えなければならない真実は結構多いのだ。「Fireside Chats」さんは「新聞記者は『書きたいリピドー』に突き動かされる存在であって欲しいと思います」と言う。協力者を裏切ってでも書くべきことは書かねばならぬ、ということだろう。
取材協力者の期待を裏切るわけだから、当然クレームはくるだろう。「酔うぞ」さんは 「クレームを付けられるリスクを常に背負って公表するしか無いだろう」と言う。
取材協力者からクレームがくれば、どういうところが期待に添えなかったのか謙虚に耳を傾けるべきだ。新聞で報道する場合とブログに書く場合を比較して、一般市民への情報の伝達がどのように異なり、どう伝わることが問題なのかを聞くべきだ。そしてなぜ書くことを決めたのかを誠意をもって説明すべきだろう。それでも理解を得られず、訴訟になったら・・・。そうした場合でも裁判に勝てるだけの根拠を持っておくべきだ。それぐらいの覚悟を持って書かなければならないのだと思う。(もっとも謝罪するという現実的な解決方法もある)。
▼新聞もブログも同じ、記者もブロガーも同じ
こうしてみると、新聞に書くのもブログに書くのも心構えは同じであるべきだということが分かる。匿名ブログは本人を特定しずらいものの、法的手段を通じて本人の特定も可能。ということは実名ブログでも匿名ブログでも、記者ブログでも記者以外の人のブログでも、基本的には同じ姿勢で書くべきだと考えられる。
以上が今回の騒動を通じてわたしが考えたことだ。まだまだ発展途上の意見だと思う。コメント、批判をいただければ幸いです。
記者ブログのルールは、「めたか」さんのおっしゃる通り「新聞社の方でルール決めすべき事でしょう、ですが、」これからルールを作られる各社の参考になればと思い、みなさんの意見を聞いたわけです。
みなさんの意見を踏まえた上で、わたしの意見もここに書かせていただきたいと思う。
▼ 被取材者はもうからない
fareasterさんが「被取材者はもうからない」とおっしゃる通り、宣伝などを目的とした取材協力以外、取材される側の人間が「もうかる」ことはありえない。
被取材者側にはどんなメリットがあるのでしょうか。取材を受けることは、イコール時間ですのでコストが生じます。経済原則としてはかかるコスト以上のメリットがないと取材を受ける意味がありません。となると(中略)「自分たちの主張をより広く知らしめる」がメリットとなります。したがって、「記事が自分たちの主張を正しく伝える」形でないと取材を受ける意味がないどころか、デメリットとすらなってしまうのではないでしょうか。
「広く知らしめる」以外にも、民主主義社会における報道の意義を理解して協力してくれる場合もあるだろう。
無償どころか時間というコストを払ってまでも取材に協力してくれるのだから、記者は協力者の意向を記事に反映させる努力をすべきだろう。もちろん協力者の意向に反してでも真実を伝えなければならない場合も少なくはない。それでも基本的なルールは、協力者の意向をくみ取ることであると思う。「協力者の意向など気にせずに思った通り書けばいい」という考えはマスコミの特権意識の現れであり、思い上がりである、とわたしは思う。違うだろうか。
▼名刺を差し出す意味
わたし自身、取材されて初めて気づいたのだが、取材されるというのは実に嫌なものだ。記者が帰ったあとで、自分の真意が伝わったかどうか、誤解を与えるような書き方で引用されはしないか、などといろいろ気にかかる。心ある記者は、できあがった原稿を出稿前に見せてくれた。掲載される雑誌の前月号をくれる記者もいた。こうした心遣いで取材される側はずいぶんと安心するものだ。
しかし締め切り時間の関係で、そうした心遣いができない場合がある。特に新聞の場合はそうだ。時間の制約の中で原稿を前もって見せることはほとんど不可能だ。取材の目的、どのような媒体にどのように掲載するつもりか、を長々と説明する時間がない場合もある。
そこで名刺を一枚渡す。「ご安心ください。できる限りご意向にそう形で報道します」という思いを込めて名刺を渡す。取材協力者が名刺に書かれた媒体名を信頼して、話を始めてくれることもあろと思う。
その媒体の信頼感は、先輩記者が長年かけて築き上げてきたものだ。
だからこそ、名刺の信頼感を損ねるよう取材をする記者や、災害現場で傍若無人に振る舞う記者に対しては、業界内でも怒りの声が上がるわけだ。信頼は築くのに時間がかかっても、崩すのは一瞬だからだ。(もう信頼は崩れているという意見もあるかと思います)
「れじい」さんは「取材される側は名刺を見て、新聞社の取材だから新聞に掲載されることを前提として取材されたはず。(中略)ブログに掲載することがある、と断っておくべきでしょう」としている。
▼それでも書かなければならないこと
ただなるべく協力者の意向に沿いたいと思っていても、意向に反してでも書かなければならないことは結構あるものだ。伝えたい真実、伝えなければならない真実は結構多いのだ。「Fireside Chats」さんは「新聞記者は『書きたいリピドー』に突き動かされる存在であって欲しいと思います」と言う。協力者を裏切ってでも書くべきことは書かねばならぬ、ということだろう。
取材協力者の期待を裏切るわけだから、当然クレームはくるだろう。「酔うぞ」さんは 「クレームを付けられるリスクを常に背負って公表するしか無いだろう」と言う。
取材協力者からクレームがくれば、どういうところが期待に添えなかったのか謙虚に耳を傾けるべきだ。新聞で報道する場合とブログに書く場合を比較して、一般市民への情報の伝達がどのように異なり、どう伝わることが問題なのかを聞くべきだ。そしてなぜ書くことを決めたのかを誠意をもって説明すべきだろう。それでも理解を得られず、訴訟になったら・・・。そうした場合でも裁判に勝てるだけの根拠を持っておくべきだ。それぐらいの覚悟を持って書かなければならないのだと思う。(もっとも謝罪するという現実的な解決方法もある)。
▼新聞もブログも同じ、記者もブロガーも同じ
こうしてみると、新聞に書くのもブログに書くのも心構えは同じであるべきだということが分かる。匿名ブログは本人を特定しずらいものの、法的手段を通じて本人の特定も可能。ということは実名ブログでも匿名ブログでも、記者ブログでも記者以外の人のブログでも、基本的には同じ姿勢で書くべきだと考えられる。
以上が今回の騒動を通じてわたしが考えたことだ。まだまだ発展途上の意見だと思う。コメント、批判をいただければ幸いです。
by tsuruaki_yukawa
| 2004-11-23 09:34
| マスコミのブログ採用例

