2004年 11月 23日
参加型ジャーナリズムは技術革新待ちの状態 |
▼情報は増えれば増えるほど、欲しい情報に容易にたどりつける
米グーグルの社員第一号のCraig Silverstein氏が来日したので、取材させてもらった。いろいろと面白いお話を聞けたのだが、中でも興味深かったのが、「情報量が増えれば増えるほど、欲しい情報にたどりつくのが容易になる」という逆説とも取れる意見だった。
もちろん情報が増えれば増えるほど、取り扱いは大変になる。キーワード検索すれば該当するページが山のように表示され、欲しい情報にたどり着くことが困難になる。
その一方で、情報が増えることで欲しい情報が入手しやすくなるという面もある。例えば、ページランクと呼ばれるページの重要度を決める仕組みは、そのページにどれだけ多くのリンクが張られているのかを重要度の判断基準にしている。情報が増えれば増えるほど、重要度を細かく判断できることになる。
また米国のグーグルのサイトにはスペルチェック機能がある。間違ったスペルでキーワードを入力しても、「もしかして~というスペルではありませんか」と正しいスペルを提示してくれる。これはグーグルが辞書機能を内蔵しているからではなく、何億ページという情報の中に出てくる最もよく似たスペルを表示しているわけだ。いつも正しいスペルを表示するわけではない。最も多いスペルを表示するのだ。
グーグルニュースの重要ニュースを決める仕組みもよく似ている。複雑な計算式から何が重要ニュースかを判断するわけだが、その判断基準の1つが「短時間にどれだけ同じテーマの記事が流れたか」というもの。短時間に複数の報道機関から同じテーマの記事が次々と流れてくるということは、そのテーマが重要ニュースであるという考え方だ。
同氏は、「今後情報量がさらに増える中で、情報量が増えることのデメリットよりもメリットを大きくするような技術革新を目指していかなければならない」と語っていた。
▼人手だけでは、情報量の増加に追いつけない
ブログの現在の課題は、モデレーターの役割、情報ハブの役割の仕組みの形成だといわれる。ブログという情報を書くためのツールは登場した。次に必要なのは、幾何学的に増えるブログの情報を効率よく入手し消化する仕組み、というわけだ。木村剛氏の「ブロガー新聞」なども、そうした仕組みを求めて試行錯誤を続けている。
そうした試行錯誤の中でよく耳にすることは、情報を集めて価値判断するのはやはり人間の役割だ、という意見だ。
しかしわたしは、個人発信情報やユビキタスデバイスから発信される情報、その他の情報が次々とネットにつながってくる中で、人手だけを使って情報を集め価値判断することは既に困難だし、今後は不可能になると考えている。やはり技術の発展に期待するしかない、と思う。情報量の増加のデメリットをメリットに変えることは、グーグルのように技術を使う以外、不可能なのではなかろうか。
以前紹介したテクノラティも、ブログの世論を分析するのに適したツールだ。これからもこうしたツールは次々と登場してくるだろう。参加型ジャーナリズムの可能性は、そうした技術革新とともに拡大していくような気がする。
これからも参加型ジャーナリズムに寄与しそうな技術の最新動向をこのブログ上で取り上げていきたいと思う。
米グーグルの社員第一号のCraig Silverstein氏が来日したので、取材させてもらった。いろいろと面白いお話を聞けたのだが、中でも興味深かったのが、「情報量が増えれば増えるほど、欲しい情報にたどりつくのが容易になる」という逆説とも取れる意見だった。
もちろん情報が増えれば増えるほど、取り扱いは大変になる。キーワード検索すれば該当するページが山のように表示され、欲しい情報にたどり着くことが困難になる。
その一方で、情報が増えることで欲しい情報が入手しやすくなるという面もある。例えば、ページランクと呼ばれるページの重要度を決める仕組みは、そのページにどれだけ多くのリンクが張られているのかを重要度の判断基準にしている。情報が増えれば増えるほど、重要度を細かく判断できることになる。
また米国のグーグルのサイトにはスペルチェック機能がある。間違ったスペルでキーワードを入力しても、「もしかして~というスペルではありませんか」と正しいスペルを提示してくれる。これはグーグルが辞書機能を内蔵しているからではなく、何億ページという情報の中に出てくる最もよく似たスペルを表示しているわけだ。いつも正しいスペルを表示するわけではない。最も多いスペルを表示するのだ。
グーグルニュースの重要ニュースを決める仕組みもよく似ている。複雑な計算式から何が重要ニュースかを判断するわけだが、その判断基準の1つが「短時間にどれだけ同じテーマの記事が流れたか」というもの。短時間に複数の報道機関から同じテーマの記事が次々と流れてくるということは、そのテーマが重要ニュースであるという考え方だ。
同氏は、「今後情報量がさらに増える中で、情報量が増えることのデメリットよりもメリットを大きくするような技術革新を目指していかなければならない」と語っていた。
▼人手だけでは、情報量の増加に追いつけない
ブログの現在の課題は、モデレーターの役割、情報ハブの役割の仕組みの形成だといわれる。ブログという情報を書くためのツールは登場した。次に必要なのは、幾何学的に増えるブログの情報を効率よく入手し消化する仕組み、というわけだ。木村剛氏の「ブロガー新聞」なども、そうした仕組みを求めて試行錯誤を続けている。
そうした試行錯誤の中でよく耳にすることは、情報を集めて価値判断するのはやはり人間の役割だ、という意見だ。
しかしわたしは、個人発信情報やユビキタスデバイスから発信される情報、その他の情報が次々とネットにつながってくる中で、人手だけを使って情報を集め価値判断することは既に困難だし、今後は不可能になると考えている。やはり技術の発展に期待するしかない、と思う。情報量の増加のデメリットをメリットに変えることは、グーグルのように技術を使う以外、不可能なのではなかろうか。
以前紹介したテクノラティも、ブログの世論を分析するのに適したツールだ。これからもこうしたツールは次々と登場してくるだろう。参加型ジャーナリズムの可能性は、そうした技術革新とともに拡大していくような気がする。
これからも参加型ジャーナリズムに寄与しそうな技術の最新動向をこのブログ上で取り上げていきたいと思う。
by tsuruaki_yukawa
| 2004-11-23 23:10