2005年 02月 09日
ホリエモンが思い浮かべるメディアの未来 |
ホリエモンの今回の動きに関し、いろいろな憶測が飛んでいる。「メディアを思いのまま操作して次のナベツネになりたいのではないか」「株価が高騰したところで売り逃げて利ざやを稼ごうとしている」「プロ野球に続く売名行為だ」などなど・・・。なぜこうした憶測が流れるのかというと、ホリエモンの説明で、納得できないからだろう。
今回の株取得に関するホリエモンの説明は、ニッポン放送やフジテレビのホームページをポータルサイトのような総合情報サイトにして、その上で物販やオークションなどで収益を得るというもの。ホンマにそんなんで儲かんのかいな、ほかに何か狙いがあんのんちゃうの、というのがほとんどの人の感想だろう。だから憶測が飛び交う結果になる。
わたしはホリエモンの説明で結構納得している。詳しく説明しよう。
まずテレビなどの放送事業はあと数年で劇的なビジネスモデルの変化を迫られる。在京キー局の放送すべてを24時間、1週間に渡って録画し続けるパソコンは既に市販されている。今は50万円ぐらいするが、記憶容量が1年半ごとに倍になるというムーアの法則に従えば、1年半後に同様の機能のパソコンは25万円になっている。3年後には12万円。4年半後には6万円台になる。ここまで安くなれば、ほとんどすべての家庭にこうしたパソコンもしくはDVD/HDDレコーダーが普及するだろう。テレビ番組は放送時間帯に見るのではなく、録画されたものを見るというテレビ視聴が一般的になる。ゴールデン時間帯というコンセプトが過去のものになる。コマーシャルは「30秒早送りボタン」を使って、飛ばされるようになる。テレビは広告媒体の王座から引きずりおろされることになるだろう。
テレビ局関係者で、このことに対する危機感を持っている人はそう多くない。「30秒早送りは著作権侵害の可能性がある」と法的手段に訴えたり、パソコンメーカー、DVD/HDDレコーダーのメーカーから私的録画補償金を徴収しようという動きが活発化してくるだろうが、そんなことで時代の大きなうねりを止められるわけはない。テレビは新しいビジネスモデルなしには立ち行かなくなるだろう。
そこでホリエモンは「僕ならうまくやれますよ」と言っているわけだ。ライブドアには、ポータルサイト運用のノウハウがある。映像データを圧縮するDivXなどのソフトウエア技術がある。映像、音楽データをサーバーに蓄積するデータセンター運用の実績がある。地上波放送とネットによる映像圧縮データ(MPEG)の同時配信を可能にするIPv6のトンネリング技術がある。ビデオを好きなように編集し見たい場面だけをクリッピングするなど、既存放送コンテンツにインタラクティブ性を持たせる技術がある。グループ内には、ネット上の決済機能を持つオンライン金融機関もある。
こうした技術やノウハウを利用して、音声、音楽、映像をネット上で利用できるようにするわけだ。そして広告に頼らずに広く薄く課金する考えだ。
それでもまだ「そんなもんで儲かるのかいな」と思う人がいるだろう。
ホリエモンは儲かるようになると考えている。なぜか。それはネットに今、パラダイムシフトが起こっているからだ。 電通総研の広報誌「Communication Inquiries」(PDFファイル)の2004年10月号に載っているホリエモンのインタビューからの引用。
米国では実際に、テレビの討論番組で出演者と司会者が激論になったことがネット上で話題になり、そのビデオクリップがネット上で次々転送され、ネット上の視聴率がテレビの視聴率を上回るということが起こっている。(参考資料:Ad Innovator)ネット上のテレビ視聴のビジネスモデルの確立を急がなければならないわけだ。
さて既存メディアとネットを融合させたあとで、ホリエモンは何を狙っているのかというとメディアの特権性の破壊である。「時代はブログる」(須田伸著、アメーバブックス)に掲載されているホリエモンのインタビュー記事から抜粋。
インターネットは中抜きを進めるという。メディアは仲介者という意味であり、今後まさに中抜きされる存在なのだろう。コンテンツ作成者からコンテンツ消費者への流通経路は、これまでの上から下への一方通行ではなく、横から横への網の目のような多方向になる。ライブドアはその多方向の情報の流れを可能にする仕組みを作ろうとしているのだ。
今回の株取得に関するホリエモンの説明は、ニッポン放送やフジテレビのホームページをポータルサイトのような総合情報サイトにして、その上で物販やオークションなどで収益を得るというもの。ホンマにそんなんで儲かんのかいな、ほかに何か狙いがあんのんちゃうの、というのがほとんどの人の感想だろう。だから憶測が飛び交う結果になる。
わたしはホリエモンの説明で結構納得している。詳しく説明しよう。
まずテレビなどの放送事業はあと数年で劇的なビジネスモデルの変化を迫られる。在京キー局の放送すべてを24時間、1週間に渡って録画し続けるパソコンは既に市販されている。今は50万円ぐらいするが、記憶容量が1年半ごとに倍になるというムーアの法則に従えば、1年半後に同様の機能のパソコンは25万円になっている。3年後には12万円。4年半後には6万円台になる。ここまで安くなれば、ほとんどすべての家庭にこうしたパソコンもしくはDVD/HDDレコーダーが普及するだろう。テレビ番組は放送時間帯に見るのではなく、録画されたものを見るというテレビ視聴が一般的になる。ゴールデン時間帯というコンセプトが過去のものになる。コマーシャルは「30秒早送りボタン」を使って、飛ばされるようになる。テレビは広告媒体の王座から引きずりおろされることになるだろう。
テレビ局関係者で、このことに対する危機感を持っている人はそう多くない。「30秒早送りは著作権侵害の可能性がある」と法的手段に訴えたり、パソコンメーカー、DVD/HDDレコーダーのメーカーから私的録画補償金を徴収しようという動きが活発化してくるだろうが、そんなことで時代の大きなうねりを止められるわけはない。テレビは新しいビジネスモデルなしには立ち行かなくなるだろう。
そこでホリエモンは「僕ならうまくやれますよ」と言っているわけだ。ライブドアには、ポータルサイト運用のノウハウがある。映像データを圧縮するDivXなどのソフトウエア技術がある。映像、音楽データをサーバーに蓄積するデータセンター運用の実績がある。地上波放送とネットによる映像圧縮データ(MPEG)の同時配信を可能にするIPv6のトンネリング技術がある。ビデオを好きなように編集し見たい場面だけをクリッピングするなど、既存放送コンテンツにインタラクティブ性を持たせる技術がある。グループ内には、ネット上の決済機能を持つオンライン金融機関もある。
こうした技術やノウハウを利用して、音声、音楽、映像をネット上で利用できるようにするわけだ。そして広告に頼らずに広く薄く課金する考えだ。
それでもまだ「そんなもんで儲かるのかいな」と思う人がいるだろう。
ホリエモンは儲かるようになると考えている。なぜか。それはネットに今、パラダイムシフトが起こっているからだ。 電通総研の広報誌「Communication Inquiries」(PDFファイル)の2004年10月号に載っているホリエモンのインタビューからの引用。
今大きなパラダイムシフトがブログによって、起こっているんです。ポータルサイトは、これからは検索主導型からコミュニティ主導型になる。(中略)ユーザーがインターネットに慣れてきて、ネット上で友達のブログを登録したりとか、興味ある人のブログとウェブサイトを登録しはじめて、いったんそのコミュニティを作ってしまえば、それが中心のライフスタイルになると思うんです。(中略)今までは、何かを探すためにインターネットを使っていたが、これからは違う。これからは、本来のインターネットのよい点、コアであるコミュニケーションの部分にどんどん到達していく。コミュニケーションのパラダイムシフトを起こしていくことに使われるのではないか。もちろん、探すという行為は、無くなるわけではないんですが、「探す」よりも「繋がる」ことのほうに変わっていく。(中略)面白いことは広がるから、そこに必ずトランザクションは派生するし、たくさんの人がいるところに市場は生まれるわけですから。ブログを通してたくさんの人が取引を始めるわけですよ。トランザクションが増えれば増えるほど、そこに対して広く薄く課金をしていけばいいんですよ。
米国では実際に、テレビの討論番組で出演者と司会者が激論になったことがネット上で話題になり、そのビデオクリップがネット上で次々転送され、ネット上の視聴率がテレビの視聴率を上回るということが起こっている。(参考資料:Ad Innovator)ネット上のテレビ視聴のビジネスモデルの確立を急がなければならないわけだ。
さて既存メディアとネットを融合させたあとで、ホリエモンは何を狙っているのかというとメディアの特権性の破壊である。「時代はブログる」(須田伸著、アメーバブックス)に掲載されているホリエモンのインタビュー記事から抜粋。
ー「日経ビジネス」でテレビ放送の在京キー局を将来的に買うことを示唆されていますが、その目的は何ですか?
それはメディアの特権性というか、聖域化されているメディアのブランドを破壊するために、メディアを買うんですよ。
ーなんだかトロイの木馬作戦のような響きです。
そう、まさにトロイの木馬。入っていって、中からボン!と壊しちゃう。もちろん、中に入った時点で、メディアが現在持っている聖域の力を利用して、我々のリーチを広げることには使いますよ。で、その後に、壊すんですよ。
ーでも本当に買うことができますか?
実際、買うこと自体はできますよ。凄く簡単なことです。キャッシュを調達してTOB(株式公開買い付け)しちゃえばいいだけですよ。そうすると、世間の人たちが「なんだ、聖域だと思っていたけど、そんなことはないじゃない」って感じることで、聖域化されていたパワーがなくなるわけですよ。思い上がっていたメディアの記者たちも、シュンとなっちゃうわけですよ。
インターネットは中抜きを進めるという。メディアは仲介者という意味であり、今後まさに中抜きされる存在なのだろう。コンテンツ作成者からコンテンツ消費者への流通経路は、これまでの上から下への一方通行ではなく、横から横への網の目のような多方向になる。ライブドアはその多方向の情報の流れを可能にする仕組みを作ろうとしているのだ。
by tsuruaki_yukawa
| 2005-02-09 08:27
| ライブドアのメディア戦略