2005年 02月 13日
ライブドアと金融情報ベンダー事業 |
justpluggedさんから教わった 江川紹子さんのサイト。江川さんは昨年末にホリエモンを取材している。 justpluggedさん、情報ありがとうございました。
justpluggedさんが、江川さんの取材記を読んだわたしの感想を聞きたいとおっしゃるので、簡単に書くことにします。
最初に思ったのは、相変わらずの堀江節だなということ。話が通じなくてイライラしている感じがうかがえる。知り合いのデジタル人間の中にも多いのだが、相手が近未来のデジタル社会の話を理解しないとバカにしたような態度を取ってしまうのだ。結局、デジタル派とアナログ派の溝は埋まらず、互いに相手をよく思わない結果になってしまう。
こういう話し方をしていて、正しく理解してくれるわけはない。江川昭子さんは取材を終えて「ユーザーの関心度だけが、掲載の基準となる。彼が作ろうとしているのは、そういうメディアだ」という結論に達している。伝えるべきことを伝えるのではなくスキャンダルでもいいから受けのいい情報だけを出していればいいという考え方だ、と理解したようだ。
別にホリエモンの肩を持つ義理もないのだが、ホリエモンの言いたいことを補足説明すれば、「伝えるべきを伝える」という作業は各ブロガーなり、市民記者が行う。それぞれが主義主張を持って活動すればいいわけだ。読者は、自分の信頼するブロガーや市民記者を通じて情報を取得していく。ライブドアは、その場を提供するだけだ。ライブドア自体が主義主張を持つことはない。このブログで過去に何度か書いたが、それがホリエモンが考える参加型ジャーナリズムの形だ。
わたしはホリエモンや孫正義さん、伊藤穣一さんなどを、日本を代表するビジョナリーだと思っている。多分わたしがIT記者だからそう思うのだと思う。知り合いの金融記者の一人は、ホリエモンや孫さんをペテン師だと思っている。わたしか金融記者かのどちらか一方の人物評が正しい、ということではない。ビジョナリーは、成功すれば「先見の明があった」と言われ、失敗すればただのペテン師、夢想家として扱われる。そういうものだ。
ただその物の見方、考え方は、わたしのような凡人には非常に学ぶべきものが多いと考えている。ビジョナリーはエキセントリックな人が多いので、普通の人と同じ尺度で測ってはいけないと思う。ホリエモンの慇懃無礼な発言を気にしてしまうと、その奥にある大事なメッセージを学ぶことができないのではなかろうか。
さて、それ以外のわたしの感想というか、新しい発見について述べたい。
これまでもホリエモンの記者会見に出たり、インタビュー記事を多く読んできたので、 江川昭子さんのインタビューの中で触れられていることはほとんど知っていた。ただ新聞と金融に関する発言で気になるところが幾つかあった。
ホリエモンは過去にも、ロイターのような金融情報ベンダー事業に進出したいと発言しているが、その考えをここまで明らかにしたのは初めてではなかろうか。
ライブドアはポータルサイト運営が主な事業のようなイメージがあるが、実際の収益の柱は金融証券事業だ。ニュース部門を持ち金融情報ベンダー事業に参入するというのは、確かに相乗効果を期待できる戦略かもしれない。
ライブドアの今回のメディア参入の動きで、「落としどころは、産経新聞だ」という読みがあるが、案外、的を射た読みかもしれない。
justpluggedさんが、江川さんの取材記を読んだわたしの感想を聞きたいとおっしゃるので、簡単に書くことにします。
最初に思ったのは、相変わらずの堀江節だなということ。話が通じなくてイライラしている感じがうかがえる。知り合いのデジタル人間の中にも多いのだが、相手が近未来のデジタル社会の話を理解しないとバカにしたような態度を取ってしまうのだ。結局、デジタル派とアナログ派の溝は埋まらず、互いに相手をよく思わない結果になってしまう。
――市民記者の位置づけは?
まあ、普通に記事集めて書くだけですね
――せっかく新しいメディアを作るのだから、今までにないものをと思わない?
思わないですね
――今までにないものを作るからこそ意味があるのでは?
べつに意味なんてなくてもいいんですよ(笑)。意味なんてどうでもいいんですよ。我々の目的は、意味あることじゃないんですよ。新しいものを作ること、意味のあることが重要なんじゃない、我々にとっては。
――市民記者を募集するのは、新しいやり方では?
それも単なるコスト削減策なんですけどね(笑)。
――今までにない内容の報道をやりたいというのもない?
ないですね(笑)。いいんでよ、別に。内容が(今までのメディアと)違うかどうかは。それが目的じゃない。内容も、もしかして違ったモノになるかもしれない。ですがそれはどっちでもいい。
――堀江さんの日記には、「メディアのあり方が変わる」と書いていたが、そういう意図はないのか。
そうやって煽った方が、みんな期待感を生むじゃないですか。僕はどっちでも……
――今のメディアではあまり報道されていないことも、インターネットを通じて伝えてういこうというのだと思っていたが。
それは副産物的にそうなるかもしれないですけど、それはどうでもいい。僕にとってはどうでもいい。
――メディアを持つということは、情報を通じて人の考え方を左右する可能性がある。
そうですね。
――そういうことに関心は?
全然ないですね。
こういう話し方をしていて、正しく理解してくれるわけはない。江川昭子さんは取材を終えて「ユーザーの関心度だけが、掲載の基準となる。彼が作ろうとしているのは、そういうメディアだ」という結論に達している。伝えるべきことを伝えるのではなくスキャンダルでもいいから受けのいい情報だけを出していればいいという考え方だ、と理解したようだ。
別にホリエモンの肩を持つ義理もないのだが、ホリエモンの言いたいことを補足説明すれば、「伝えるべきを伝える」という作業は各ブロガーなり、市民記者が行う。それぞれが主義主張を持って活動すればいいわけだ。読者は、自分の信頼するブロガーや市民記者を通じて情報を取得していく。ライブドアは、その場を提供するだけだ。ライブドア自体が主義主張を持つことはない。このブログで過去に何度か書いたが、それがホリエモンが考える参加型ジャーナリズムの形だ。
わたしはホリエモンや孫正義さん、伊藤穣一さんなどを、日本を代表するビジョナリーだと思っている。多分わたしがIT記者だからそう思うのだと思う。知り合いの金融記者の一人は、ホリエモンや孫さんをペテン師だと思っている。わたしか金融記者かのどちらか一方の人物評が正しい、ということではない。ビジョナリーは、成功すれば「先見の明があった」と言われ、失敗すればただのペテン師、夢想家として扱われる。そういうものだ。
ただその物の見方、考え方は、わたしのような凡人には非常に学ぶべきものが多いと考えている。ビジョナリーはエキセントリックな人が多いので、普通の人と同じ尺度で測ってはいけないと思う。ホリエモンの慇懃無礼な発言を気にしてしまうと、その奥にある大事なメッセージを学ぶことができないのではなかろうか。
さて、それ以外のわたしの感想というか、新しい発見について述べたい。
これまでもホリエモンの記者会見に出たり、インタビュー記事を多く読んできたので、 江川昭子さんのインタビューの中で触れられていることはほとんど知っていた。ただ新聞と金融に関する発言で気になるところが幾つかあった。
――規制メディアのどういう点が物足りなくて、新しいメディアを作ろうと考えたのか
「物足りないってこともないんです。元々は、商売で金融系事業をやっているわけですよ、うちは。消費者金融とか証券会社とか。そこで重要なのは、メディアを持つことですよ。
何故かって言うと、ロイターだってそうじゃないですか。ロイターは元々通信社ですけど、証券取引のシステムを作ったところで大きく伸びたんですよ。それは、ニュースだけ出している日本の通信社との大きな違い。ロイターの収益の9割がロイター・モニター――今はその進化版みたいなヤツになってますが――それが各金融機関にあって、もちろんニュースも流れているんですけど、そこで為替取引もできるわけですよ。
元々為替は相対でヨーロッパの銀行間で取り引きしていたんですね。今の為替取引の原形を作ったのはロイターなんですね。
――ロイターというと、私は戦争の現場などでの取材活動が思い浮かぶが
あそこはコスト・センター。プロフィット・センターは為替部門なんです、実は。
うちもインターネットのロイターとか……(金融情報サービス会社の)ブルームバーグも、債権のリーディングシステムが一番の収益の柱なんですね。マイケル・ブルームバーグは元々メリル・リンチ(ママ )にいた人で、そこのプログラマー(江川注=実際はソロモン・ブラザース証券のディーラー)。彼はシステムを作っているところから、そのシステムを広めるためにはニュースが必要だと、メディアの重要性を認識して、(新しいメディアを)作ったんです。
――経済、金融関係のニュースを発信していく、と。
インターネット時代の金融会社を大きくしていくためにはどうしたらいいのかっていう流れの中で、メディアを持たなきゃいけないっていう話になったわけですよ。発想はブルームバーグさんと全く一緒。
ロイターもブルームバーグも、企業内に情報配信システムをまず設置して、取り引きをそこでしてもらってサヤを抜くみたいなビジネスがメインになっているのは確か。それをやりたくて。
ライブドアはポータルサイトの会社なんだけど、証券もやってる。ユーザーが自然と、証券をやるならライブドア証券で、という流れを作っていきたい。
その中で、さらに信用とか格を上げていくためには、もっとメディア寄りのイメージをつけるのが得策だろう、と。(中略)
――新聞を持つことも考えているのか
その(=新聞を持つ)方が信頼度が増すと思うんですよ。バンバン拡販して部数を何十万にするとかは考えてなくて、出してるってことで(信頼を)感じると思う。
ホリエモンは過去にも、ロイターのような金融情報ベンダー事業に進出したいと発言しているが、その考えをここまで明らかにしたのは初めてではなかろうか。
ライブドアはポータルサイト運営が主な事業のようなイメージがあるが、実際の収益の柱は金融証券事業だ。ニュース部門を持ち金融情報ベンダー事業に参入するというのは、確かに相乗効果を期待できる戦略かもしれない。
ライブドアの今回のメディア参入の動きで、「落としどころは、産経新聞だ」という読みがあるが、案外、的を射た読みかもしれない。
by tsuruaki_yukawa
| 2005-02-13 22:03
| ライブドアのメディア戦略