2005年 02月 17日
ブログが変える企業広報 |
IT業界の覇者、米マイクロソフトの本社がどこにあるのかご存じだろうか。マイクロソフトの本社がシリコンバレーにあると思っておられる方がいらっしゃるかもしれないが、正解はシリコンバレーから北に飛行機で約1時間のワシントン州レッドモンドだ。
わたしは1985年から2000年まで、サンフランシスコ、シリコンバレー地域に住んでいた。マイクロソフトは、IT産業のメッカ、シリコンバレーに拠点を置かずにIT業界で1人勝ちしていたわけだから、シリコンバレーでの評判は芳しくなかった。というよりその強引な手法が、徹底的に嫌われていたように思う。IT業界のヒール(悪役)という表現がぴったりだった。
シリコンバレー内での評判をよくしようと、マイクロソフトの広報代理店はいろいろな方策を講じていた。記者会見に出るたびにマイクロソフトのロゴの入ったグッズをもらったものだ。有力広報代理店が全力でイメージアップを狙ったが、特に技術者の間でのイメージは改善されることはなかったと思う。
ところが英国の有力経済誌エコノミストによると、最近はシリコンバレーの技術者の間でマイクロソフトのイメージがかなりよくなっているという。イメージアップに貢献しているのが、同社公認のブロガー、Robert Scobleさんだ。 Scobleさんは、ブログを通じて技術者の質問に懇切丁寧に答えている。普通のブログ同様に 身の回りのことも書いている。草木をなぎ倒す巨大戦車マイクロソフトにも、自分たちと同じように情報技術に夢を託す等身大の人間がいるのだということを、シリコンバレーの技術者は、Scobleさんのブログを通じて再確認したようだ。
マイクロソフトの企業広報にブログを利用することを思いついたのは、Lenn Pryorさん。Pryorさんは、大の飛行機嫌い。鉄の固まりが空を飛ぶということが、どうしても理解できない。仕事で飛行機を利用しなければならないとき、あるパイロットが恐怖心を和らげる秘訣を教えてくれた。それは機内放送のチャンネル9を聞く、ということだった。チャンネル9は、パイロット同士やパイロットと管制官とのやりとりを聞くことのできるチャンネル。パイロットたちが自信と余裕を持って現状を報告し合っている会話を聞くことで、Pryorさんは安心して空の旅を楽しめたという。
Pryorさんはマイクロソフトの広報も、ありのままの企業活動の内容を外部に伝えるべきだ、と考えた。そこで「チャンネル9」というブログを立ち上げ、技術系のブロガーの間でその率直な表現で信頼されていたcobleさんを広報ブロガーとして雇い入れたという。
マイクロソフトのブログ広報の成功を受け、米国ではIT企業を中心に広報ブログが増加している。ブログ解析ツールtechnoratiのDavid L. Sifry最高経営責任者によると、既に5000以上の広報ブログが確認されているという。調査会社フォレスター・リサーチは、5年以内にほとんどの企業が広報ブログを持つようになると予測している。
ソフトメーカーNovellの広報責任者のBruce Lowryさんは、10年以内にブログが無味乾燥な発表文に取って変わるだろうと予測している。
ジャーナリズムだけではない。情報流通のあらゆる場面で、ブログが影響を及ぼし始めているようだ。
わたしは1985年から2000年まで、サンフランシスコ、シリコンバレー地域に住んでいた。マイクロソフトは、IT産業のメッカ、シリコンバレーに拠点を置かずにIT業界で1人勝ちしていたわけだから、シリコンバレーでの評判は芳しくなかった。というよりその強引な手法が、徹底的に嫌われていたように思う。IT業界のヒール(悪役)という表現がぴったりだった。
シリコンバレー内での評判をよくしようと、マイクロソフトの広報代理店はいろいろな方策を講じていた。記者会見に出るたびにマイクロソフトのロゴの入ったグッズをもらったものだ。有力広報代理店が全力でイメージアップを狙ったが、特に技術者の間でのイメージは改善されることはなかったと思う。
ところが英国の有力経済誌エコノミストによると、最近はシリコンバレーの技術者の間でマイクロソフトのイメージがかなりよくなっているという。イメージアップに貢献しているのが、同社公認のブロガー、Robert Scobleさんだ。 Scobleさんは、ブログを通じて技術者の質問に懇切丁寧に答えている。普通のブログ同様に 身の回りのことも書いている。草木をなぎ倒す巨大戦車マイクロソフトにも、自分たちと同じように情報技術に夢を託す等身大の人間がいるのだということを、シリコンバレーの技術者は、Scobleさんのブログを通じて再確認したようだ。
マイクロソフトの企業広報にブログを利用することを思いついたのは、Lenn Pryorさん。Pryorさんは、大の飛行機嫌い。鉄の固まりが空を飛ぶということが、どうしても理解できない。仕事で飛行機を利用しなければならないとき、あるパイロットが恐怖心を和らげる秘訣を教えてくれた。それは機内放送のチャンネル9を聞く、ということだった。チャンネル9は、パイロット同士やパイロットと管制官とのやりとりを聞くことのできるチャンネル。パイロットたちが自信と余裕を持って現状を報告し合っている会話を聞くことで、Pryorさんは安心して空の旅を楽しめたという。
Pryorさんはマイクロソフトの広報も、ありのままの企業活動の内容を外部に伝えるべきだ、と考えた。そこで「チャンネル9」というブログを立ち上げ、技術系のブロガーの間でその率直な表現で信頼されていたcobleさんを広報ブロガーとして雇い入れたという。
マイクロソフトのブログ広報の成功を受け、米国ではIT企業を中心に広報ブログが増加している。ブログ解析ツールtechnoratiのDavid L. Sifry最高経営責任者によると、既に5000以上の広報ブログが確認されているという。調査会社フォレスター・リサーチは、5年以内にほとんどの企業が広報ブログを持つようになると予測している。
ソフトメーカーNovellの広報責任者のBruce Lowryさんは、10年以内にブログが無味乾燥な発表文に取って変わるだろうと予測している。
ジャーナリズムだけではない。情報流通のあらゆる場面で、ブログが影響を及ぼし始めているようだ。
by tsuruaki_yukawa
| 2005-02-17 21:35