2005年 09月 14日
視聴者参加型テレビ局 |
▼視聴者参加型テレビ局
さてではモバイル性の現状はというと、どうなるのだろう。モバイル機器の王座は、やはり携帯電話だろう。今後はカーナビゲーション機器の進化にも期待できそう。現在でもテレビやラジオの放送を受信できる携帯電話やカーナビは存在する。しかしそれらは、今放送している番組しか視聴できない。いずれは好きな番組を見ることができるようになるだろう。
参加型の現状はというと、日本ではまだ主だった動きは出てきていない。米国では、一般市民が撮影した映像だけでテレビ局など、参加型メディア確立に向けたさまざまな動きが登場している。
米カレントTV社は、2005年8月1日から放送を始めたテレビ局だが、放送開始以前から2つの意味で米マスコミの話題をさらった。1つは、同社の会長に、アル・ゴア米元副大統領が就任したこと。もう1つは、24時間放送のほとんどの部分が視聴者から寄せられるショートビデオで構成されるということだ。米国初の視聴者参加型テレビというのがキャッチフレーズだ。
ターゲット視聴者層は、18歳から34歳までの若者層。投稿を呼びかけているショートビデオのテーマは、「テクノロジー」「ファッション」「音楽」「ビデオゲーム」「環境問題」「人間関係」「宗教・精神」「政治」「ファイナンス」「子育て」など。どれも若者が興味のありそうなテーマばかりだ。
投稿するには、まずカレントTVのウェブサイトにある「アサインメント・デスク」をチェックする。そこに掲載されている募集中のテーマに沿った1分から5分のショートビデオを作成し、ウェブサイトにアップロードする。アップロードされたビデオはウェブサイト上で他のユーザーも見ることができる。他のユーザーからの評価を受ける中で、人気の高いものがテレビで放送される仕組み。
最初に放映されたビデオに対しては250ドルが支払われ、放映2本目、3本目には500ドル、4本目、5本目には750ドル。5本放映された人には、それ以降放映のビデオに対し、1本当たり1000ドル支払われるようになっている。
カレントTVの放送は、衛星放送のディレクTVや、タイムワーナー社のCATV網を通じて全米約2000万世帯に届けられるという。
▼オープン・メディア・ネットワーク
一方、ネット上の映像や音楽の流通をスムーズにしようとして非営利団体が立ち上げたのが、オープン・メディア・ネットワークという仕組みだ。
技術的には、グリッドコンピューティング、P2Pネットワーク、ファイル交換などと呼ばれる種類のネットワーク技術を使っている。中央のコンピューターにすべてのビデオや音楽を記憶させておくのではなく、ネットワーク上のあちらこちらのコンピューター上にデータを分散させて記憶させておく仕組みだ。特定のデータに対しダウンロードのリクエストがあれば、最も効率のいい経路、方法でデータを転送する。
この仕組みに自分の撮影したビデオや、自分で演奏した音楽を載せるのは、非常に簡単。映像や音楽のネット上のアドレスを登録するだけ。それだけで、テレビ番組表のような「プログラム・ガイド」に自分のビデオや音楽が登録される。
一方、視聴者はプログラム・ガイドの中から視聴したいプログラムを選択し、ダウンロードボタンを押すだけで、そのビデオや音楽を自分のパソコン上に取り込むことができる。ダウンロードには数分以上かかるが、一度ダウンロードしたビデオや音楽を他のユーザーからもアクセス可能なように設定すれば、優先的にダウンロードが高速化されることになっている。
視聴者は、自分が視聴したビデオや音楽を5段階評価できる。評価は自動的に集計され、人気のあるビデオや音楽はトップページの人気ランキングに表示されるようになっている。また視聴後にそのビデオが青少年にとって有害だと思えば、「青少年有害コンテンツ」のボタンを押すことで、他のユーザーに警告できるようになっている。また視聴したコンテンツを形容するキーワードをデータとして追加することも可能。例えば草野球のホームビデオに対し、「草野球」「ホームビデオ」などといったキーワードをつければ、「草野球」か「ホームビデオ」というキーワードで検索した際に、検索結果のページに表示される。利用者みんなでオープン・メディア・ネットワークを利用しやすいようにしようという仕組みだ。
日本人は恥ずかしがり屋が多いので、自分のビデオをネット上で公開する人は多くないと思われるかもしれない。しかし、ネット上には日本人のアマチュアカメラマンが撮ったすばらしい映像が既に存在する。例えば、「JAPAN-GEOGRAPHIC.TV」。日本各地のすばらしい映像の数々がデータベースに保存されていて、だれでも鑑賞できるようになっている。この映像データベースを作り続けているのは、 三井不動産S&E総研の瀧山幸伸さん。
瀧山さんは週末ごとに愛車にハイビジョンビデオカメラを搭載して、日本の美しい風景を写して回っているのだと言う。
三井不動産S&E総研の瀧山幸伸さんの「JAPAN-GEOGRAPHIC.TV」。
http://japan-geographic.tv/
著者注:間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
さてではモバイル性の現状はというと、どうなるのだろう。モバイル機器の王座は、やはり携帯電話だろう。今後はカーナビゲーション機器の進化にも期待できそう。現在でもテレビやラジオの放送を受信できる携帯電話やカーナビは存在する。しかしそれらは、今放送している番組しか視聴できない。いずれは好きな番組を見ることができるようになるだろう。
参加型の現状はというと、日本ではまだ主だった動きは出てきていない。米国では、一般市民が撮影した映像だけでテレビ局など、参加型メディア確立に向けたさまざまな動きが登場している。
米カレントTV社は、2005年8月1日から放送を始めたテレビ局だが、放送開始以前から2つの意味で米マスコミの話題をさらった。1つは、同社の会長に、アル・ゴア米元副大統領が就任したこと。もう1つは、24時間放送のほとんどの部分が視聴者から寄せられるショートビデオで構成されるということだ。米国初の視聴者参加型テレビというのがキャッチフレーズだ。
ターゲット視聴者層は、18歳から34歳までの若者層。投稿を呼びかけているショートビデオのテーマは、「テクノロジー」「ファッション」「音楽」「ビデオゲーム」「環境問題」「人間関係」「宗教・精神」「政治」「ファイナンス」「子育て」など。どれも若者が興味のありそうなテーマばかりだ。
投稿するには、まずカレントTVのウェブサイトにある「アサインメント・デスク」をチェックする。そこに掲載されている募集中のテーマに沿った1分から5分のショートビデオを作成し、ウェブサイトにアップロードする。アップロードされたビデオはウェブサイト上で他のユーザーも見ることができる。他のユーザーからの評価を受ける中で、人気の高いものがテレビで放送される仕組み。
最初に放映されたビデオに対しては250ドルが支払われ、放映2本目、3本目には500ドル、4本目、5本目には750ドル。5本放映された人には、それ以降放映のビデオに対し、1本当たり1000ドル支払われるようになっている。
カレントTVの放送は、衛星放送のディレクTVや、タイムワーナー社のCATV網を通じて全米約2000万世帯に届けられるという。
▼オープン・メディア・ネットワーク
一方、ネット上の映像や音楽の流通をスムーズにしようとして非営利団体が立ち上げたのが、オープン・メディア・ネットワークという仕組みだ。
技術的には、グリッドコンピューティング、P2Pネットワーク、ファイル交換などと呼ばれる種類のネットワーク技術を使っている。中央のコンピューターにすべてのビデオや音楽を記憶させておくのではなく、ネットワーク上のあちらこちらのコンピューター上にデータを分散させて記憶させておく仕組みだ。特定のデータに対しダウンロードのリクエストがあれば、最も効率のいい経路、方法でデータを転送する。
この仕組みに自分の撮影したビデオや、自分で演奏した音楽を載せるのは、非常に簡単。映像や音楽のネット上のアドレスを登録するだけ。それだけで、テレビ番組表のような「プログラム・ガイド」に自分のビデオや音楽が登録される。
一方、視聴者はプログラム・ガイドの中から視聴したいプログラムを選択し、ダウンロードボタンを押すだけで、そのビデオや音楽を自分のパソコン上に取り込むことができる。ダウンロードには数分以上かかるが、一度ダウンロードしたビデオや音楽を他のユーザーからもアクセス可能なように設定すれば、優先的にダウンロードが高速化されることになっている。
視聴者は、自分が視聴したビデオや音楽を5段階評価できる。評価は自動的に集計され、人気のあるビデオや音楽はトップページの人気ランキングに表示されるようになっている。また視聴後にそのビデオが青少年にとって有害だと思えば、「青少年有害コンテンツ」のボタンを押すことで、他のユーザーに警告できるようになっている。また視聴したコンテンツを形容するキーワードをデータとして追加することも可能。例えば草野球のホームビデオに対し、「草野球」「ホームビデオ」などといったキーワードをつければ、「草野球」か「ホームビデオ」というキーワードで検索した際に、検索結果のページに表示される。利用者みんなでオープン・メディア・ネットワークを利用しやすいようにしようという仕組みだ。
日本人は恥ずかしがり屋が多いので、自分のビデオをネット上で公開する人は多くないと思われるかもしれない。しかし、ネット上には日本人のアマチュアカメラマンが撮ったすばらしい映像が既に存在する。例えば、「JAPAN-GEOGRAPHIC.TV」。日本各地のすばらしい映像の数々がデータベースに保存されていて、だれでも鑑賞できるようになっている。この映像データベースを作り続けているのは、 三井不動産S&E総研の瀧山幸伸さん。
瀧山さんは週末ごとに愛車にハイビジョンビデオカメラを搭載して、日本の美しい風景を写して回っているのだと言う。
三井不動産S&E総研の瀧山幸伸さんの「JAPAN-GEOGRAPHIC.TV」。
http://japan-geographic.tv/
著者注:間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
by tsuruaki_yukawa
| 2005-09-14 06:52
| 本の原稿