2005年 09月 17日
ヤフーが報道機関になる可能性 |
▼ヤフー・ジャパンが報道機関になる可能性
「ネット企業と既存マスメディア企業は、1つの線路上を反対側から互いの方向に向かって突進し始めた機関車のようなもの。正面衝突は不可避の状態だ」と講演で話したことがある。講演後にヤフー・ジャパンの広報マンが来て、こう反論した。「アメリカのヤフーのことは知りませんが、ヤフー・ジャパンはメディアになろうとは考えていない。一度、ニュース部門担当者を取材してみてください。新聞社さんたちと戦うことなんて、これっぽっちも考えていませんから」。
それはそうだろう。ニュース部門担当者が報道機関と戦いたいと思っているわけがない。仲良くやっていれば、非常に低価格でニュース配信を受け続けることができるのだから。
しかし、朝日新聞、日本経済新聞が、ヤフーに記事を配信していないのは、ヤフーを競合相手とみなしているからだ。読売新聞の中にも、配信を中止すべきではないのかという議論があるという。
もしすべての大手報道機関がヤフーを競合相手とみなし、記事の配信をやめればどうなるだろうか。
何も考えていないヤフーのニュース部門担当者はただおろおろするだけかもしれないが、経営者は対抗策に打って出るだろう。ヤフーにとってニュースは、ユーザーを繰り返し呼び戻すことのできる主要コンテンツの1つ。ニュースなしでネットポータル(ネット上の総合情報サイト)事業は成り立たない。ヤフーは必ず自前の取材部隊を持とうとするだろう。記者経験者を採用するだけでなく、現役記者を引き抜くかもしれない。
米国ヤフーのように、フリージャーナリストと契約し、戦場取材を独自に展開するようになるかもしれない。その時点で、ヤフー・ジャパンが報道機関になる
ただすべての報道機関が記事の配信をやめる可能性は低いと思う。通信社の中でよく言われるのは、「ヤフーを契約新聞社の1つのようなものと考えればいい。新聞社に配信するのもヤフーに配信するのも、基本的に何も変わらない」ということ。通信社に対し何らかの力が働かない限り、通信社がヤフーへの記事配信を自ら中止することはないだろう。
また日本のすべての報道機関が記事配信を中止しても、何のしがらみのない外国通信社はヤフーに記事を配信し続けるだろう。
それに新聞社の中にもヤフーに対抗しようとはせずに、ヤフーに記事を配信し続けるところもあるだろう。つまりネット上で通信社の業務を担うわけだ。
ヤフージャパンにしろ報道機関との関係を悪化させないようにいろいろと気と使い続けると思う。ニュース配信の料金を引き上げを検討するかもしれない。広告料売上をアクセス数で分配する仕組みに切り替えて、報道機関との共存を強調するかもしれない。できるだけみんながハッピーな方法で改革を進めていく。それがネット上でも日本企業らしいやり方だからだ。
それでももし記事配信の打ち切りを決める報道機関が増え始めれば、残りの社の中の有力な1社と独占契約を結ぶかもしれない。毎日新聞とMSNのように・・・。実際にヤフージャパンが自ら報道機関になるのは、こうした方策がすべてうまく行かなくなってからだろう。
著者注:間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
「ネット企業と既存マスメディア企業は、1つの線路上を反対側から互いの方向に向かって突進し始めた機関車のようなもの。正面衝突は不可避の状態だ」と講演で話したことがある。講演後にヤフー・ジャパンの広報マンが来て、こう反論した。「アメリカのヤフーのことは知りませんが、ヤフー・ジャパンはメディアになろうとは考えていない。一度、ニュース部門担当者を取材してみてください。新聞社さんたちと戦うことなんて、これっぽっちも考えていませんから」。
それはそうだろう。ニュース部門担当者が報道機関と戦いたいと思っているわけがない。仲良くやっていれば、非常に低価格でニュース配信を受け続けることができるのだから。
しかし、朝日新聞、日本経済新聞が、ヤフーに記事を配信していないのは、ヤフーを競合相手とみなしているからだ。読売新聞の中にも、配信を中止すべきではないのかという議論があるという。
もしすべての大手報道機関がヤフーを競合相手とみなし、記事の配信をやめればどうなるだろうか。
何も考えていないヤフーのニュース部門担当者はただおろおろするだけかもしれないが、経営者は対抗策に打って出るだろう。ヤフーにとってニュースは、ユーザーを繰り返し呼び戻すことのできる主要コンテンツの1つ。ニュースなしでネットポータル(ネット上の総合情報サイト)事業は成り立たない。ヤフーは必ず自前の取材部隊を持とうとするだろう。記者経験者を採用するだけでなく、現役記者を引き抜くかもしれない。
米国ヤフーのように、フリージャーナリストと契約し、戦場取材を独自に展開するようになるかもしれない。その時点で、ヤフー・ジャパンが報道機関になる
ただすべての報道機関が記事の配信をやめる可能性は低いと思う。通信社の中でよく言われるのは、「ヤフーを契約新聞社の1つのようなものと考えればいい。新聞社に配信するのもヤフーに配信するのも、基本的に何も変わらない」ということ。通信社に対し何らかの力が働かない限り、通信社がヤフーへの記事配信を自ら中止することはないだろう。
また日本のすべての報道機関が記事配信を中止しても、何のしがらみのない外国通信社はヤフーに記事を配信し続けるだろう。
それに新聞社の中にもヤフーに対抗しようとはせずに、ヤフーに記事を配信し続けるところもあるだろう。つまりネット上で通信社の業務を担うわけだ。
ヤフージャパンにしろ報道機関との関係を悪化させないようにいろいろと気と使い続けると思う。ニュース配信の料金を引き上げを検討するかもしれない。広告料売上をアクセス数で分配する仕組みに切り替えて、報道機関との共存を強調するかもしれない。できるだけみんながハッピーな方法で改革を進めていく。それがネット上でも日本企業らしいやり方だからだ。
それでももし記事配信の打ち切りを決める報道機関が増え始めれば、残りの社の中の有力な1社と独占契約を結ぶかもしれない。毎日新聞とMSNのように・・・。実際にヤフージャパンが自ら報道機関になるのは、こうした方策がすべてうまく行かなくなってからだろう。
著者注:間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
by tsuruaki_yukawa
| 2005-09-17 23:47
| 本の原稿