2005年 09月 19日
「ネット事業は先手必勝」のうそ |
▼「ネット事業は先手必勝」のうそ
オフラインとオンラインという違いだけで、追求するビジネスモデルが同じであるならば、メディア企業がオンラインに軸足を移していけば、メット企業と衝突することになる。果たしてメディア企業は、ネットの巨人ヤフーやグーグルに勝つことができるのだろうか。
日本のネット業界の人間のほとんどは、ヤフーからネットの覇権を奪取することは既に不可能な状態にあると考えている。ヤフーは集客力でも、ブランド力でも、売上高でも圧倒的に強い。一人勝ちの状態だ。
しかしわたし自身は、ヤフーの牙城は決して難攻不落ではない、と考えている。というのは、他のネット企業と比べてヤフーは新技術の導入で遅れを取ることがよくあるし、組織的にも硬直化しているようにみえる。業界トップの安定企業に就職したようなつもりになっている新入社員も多いと聞く。一種の大企業病だと形容する関係者もいるからだ。
わたしの考えをインターネット視聴率調査のニールセン・ネットレイティングス社の萩原雅之社長にぶつけてみた。萩原社長は「そうは言っても、ヤフーは、ユーザー数、ユーザー滞在時間数、ページ閲覧数といったあらゆる数字を順調に伸ばし続けている。数字を見る限り、ヤフーの成長率に今後陰りが出るという予測の根拠になるものは一つもない」と反論した。
それでも、わたしはヤフーの地位が不動のものとは思えない。いつかはヤフーに対抗できる企業が出てくるような気がしてならない。
最近、米国のあるウェブサイトの活躍ぶりを見て、その思いはますます強くなっている。
このウェブサイトは「マイスペース」という名の会員制コミュニティーサイトで、ソーシャルネットワーキング(SNS)と呼ばれる種類のサイトだ。SNSは会員の紹介がなければ入会できない、ある種、閉鎖的なサイト。インターネットといえば、オープンな雰囲気がその特徴の一つだが、オープンな雰囲気ゆえに有害情報や誹謗中傷、詐欺などの問題が生じる。SNSは会員制なので閉鎖的だが、その半面、安心感のある空間を提供することで人気を博している。
会員になると、ほかの会員が書くプロフィールや公開日記を読むことができ、気が合いそうな会員とは「友人関係」を結ぶことができる。友人の友人というように友人関係を広げていけるのが特徴のサービスだ。
マイスペースは数あるSNSサイトの中でも後発組だ。それでもブログやメッセンジャー(高機能メール)などといった新しい技術やサービスを次々と提供する一方で、音楽やビデオなど若者向けのコンテンツを満載することで急成長した。
2年前にサービスを始めたばかりなのに、会員数は既に2700万人。アクセス数では、先行する競合SNSどころか、グーグルまでも追い抜いている。
ネットビジネスは先手必勝といわれる。しかし急速な技術革新の中、後発企業でも新しい技術や工夫をいち早く搭載することで、先行企業の牙城を崩すことは決して不可能ではないという好例だ。
著者注:間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
オフラインとオンラインという違いだけで、追求するビジネスモデルが同じであるならば、メディア企業がオンラインに軸足を移していけば、メット企業と衝突することになる。果たしてメディア企業は、ネットの巨人ヤフーやグーグルに勝つことができるのだろうか。
日本のネット業界の人間のほとんどは、ヤフーからネットの覇権を奪取することは既に不可能な状態にあると考えている。ヤフーは集客力でも、ブランド力でも、売上高でも圧倒的に強い。一人勝ちの状態だ。
しかしわたし自身は、ヤフーの牙城は決して難攻不落ではない、と考えている。というのは、他のネット企業と比べてヤフーは新技術の導入で遅れを取ることがよくあるし、組織的にも硬直化しているようにみえる。業界トップの安定企業に就職したようなつもりになっている新入社員も多いと聞く。一種の大企業病だと形容する関係者もいるからだ。
わたしの考えをインターネット視聴率調査のニールセン・ネットレイティングス社の萩原雅之社長にぶつけてみた。萩原社長は「そうは言っても、ヤフーは、ユーザー数、ユーザー滞在時間数、ページ閲覧数といったあらゆる数字を順調に伸ばし続けている。数字を見る限り、ヤフーの成長率に今後陰りが出るという予測の根拠になるものは一つもない」と反論した。
それでも、わたしはヤフーの地位が不動のものとは思えない。いつかはヤフーに対抗できる企業が出てくるような気がしてならない。
最近、米国のあるウェブサイトの活躍ぶりを見て、その思いはますます強くなっている。
このウェブサイトは「マイスペース」という名の会員制コミュニティーサイトで、ソーシャルネットワーキング(SNS)と呼ばれる種類のサイトだ。SNSは会員の紹介がなければ入会できない、ある種、閉鎖的なサイト。インターネットといえば、オープンな雰囲気がその特徴の一つだが、オープンな雰囲気ゆえに有害情報や誹謗中傷、詐欺などの問題が生じる。SNSは会員制なので閉鎖的だが、その半面、安心感のある空間を提供することで人気を博している。
会員になると、ほかの会員が書くプロフィールや公開日記を読むことができ、気が合いそうな会員とは「友人関係」を結ぶことができる。友人の友人というように友人関係を広げていけるのが特徴のサービスだ。
マイスペースは数あるSNSサイトの中でも後発組だ。それでもブログやメッセンジャー(高機能メール)などといった新しい技術やサービスを次々と提供する一方で、音楽やビデオなど若者向けのコンテンツを満載することで急成長した。
2年前にサービスを始めたばかりなのに、会員数は既に2700万人。アクセス数では、先行する競合SNSどころか、グーグルまでも追い抜いている。
ネットビジネスは先手必勝といわれる。しかし急速な技術革新の中、後発企業でも新しい技術や工夫をいち早く搭載することで、先行企業の牙城を崩すことは決して不可能ではないという好例だ。
著者注:間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
by tsuruaki_yukawa
| 2005-09-19 22:13
| 本の原稿