2006年 01月 05日
炎上する記者ブログ |
第3章
一般市民の情報発信がジャーナリスティックな活動を始める中で、既存のマスメディア企業はどう対応すればいいのだろうか。
市民ジャーナリズムと既存の商業ジャーナリズムは敵対関係になるのか。それとも、それぞれが強みを発揮するいい意味での補完関係になるのだろうか。
その答えは、1つには既存ジャーナリズムが市民ジャーナリズムとどれだけ対話するかにかかっている、とわたしは考えている。既存ジャーナリズムは権力の番人ではなく、権力側の存在になってしまったと多くの人は感じている。そう考える人が多ければ多いほど、市民ジャーナリズムは既存ジャーナリズムに対して牙をむくだろう。既存ジャーナリズムが権力側でなく市民側に立っていると広く認識してもらうためには、まず市民との対話を始めなければならないと思う。
また市民ジャーナリズムと既存ジャーナリズムの今後の関係を占う上でのもう1つの重要なポイントは、既存ジャーナリズムが新しい時代にあったビジネスモデルを構築できるかどうかだと思う。日露戦争以来変化していないといわれる新聞事業のビジネスモデルは、当然のことながらひずみが生じ始めている。ここまで長い間、1つのビジネスモデルがよくもったと言うべきかもしれない。それだけすばらしいビジネスモデルだったのだろうが、インターネットという新しい情報流通の仕組みが普及したこともあり、そろそろ新しいビジネスモデルが必要な時期にきていると思う。
もし新しいビジネスモデルが構築できないのであれば、経営状況が悪化することになるだろう。そうなれば経費が削減される。過度の経費削減は、ジャーナリズムの質の低下を招きかねない。既存ジャーナリズムの質が低下すれば、市民ジャーナリズムによる糾弾を招くことになるだろう。いい意味でのライバル関係ならいいのだが、単なる誹謗中傷、足のひっぱり合いなどの不健全な関係になりはしないだろうか。
市民が情報を発信する際のマナーやルールがまだ完全に確立していない段階で、価値ある情報を探し出す優れた仕組みがまだ完全に完成していない段階で、既存ジャーナリズムが弱体化すればどうだろう。一時的にジャーナリズムが機能しない時期がくるのではなかろうか。そのことは社会にとっての悲劇となりはしないだろうか。
こうした状況の中、既存の商業ジャーナリズムに所属する自分は何をすればいいのだろうか。何をしなければならないのだろうか。
わたし自身、明確な答えを持っているわけではない。しかし対話の促進と、ビジネスモデルの確立のために自分のできることはすべきだと思っている。
立ち止まっているわけにはいかない。とにかく動き出さなければ。特に深い考えもないまま、見よう見まねでブログを始めることにした。
日本のブログブームの始まりは2003年の秋ごろからといわれる。それ以前にも米国製のブログ作成ソフトを使ってブログをやっている人たちはいたが、一般ユーザーにまで普及し始めたのは大手プロバイダーなどが無料のブログ作成・ホスティングサービスを始めてからである。わたしもこの機会に最初のブログを立ち上げ、半年ほどした2004年5月に参加型ジャーナリズムの問題に特化した「ネットは新聞を殺すのかblog」というブログを別に立ち上げた。
記者が実名でブログを書いていいのか。記者であることを明かすべきなのか。所属する組織の許可を得るべきなのか。そうしたコンセンサスがまったく確立していないにもかかわらず、とりあえずこの新しいツールを使って情報発信を始めることにしたのだ。
わたし以外にも、何人かの記者が同じ時期にブログを立ち上げていた。その動機はそれぞれ異なっていたとしても、組織を通じてではなく自分の言葉で語りたいという思いは共通していたのだと思う。
われわれプロの記者を迎えたネットの住民たちの態度は、必ずしも友好的ではなかった。ネット上に鬱積していたマスコミに対する不満、不信感といった感情が、記者運営のブログのコメント欄に雪崩のごとく押し寄せることがしばしばあった。マスコミはこれまで読者、視聴者との双方向の対話をほとんど行ってこなかったのかもしれない。それでまるでわれわれ記者ブロガーのブログが、かすかに開いたマスコミの代表窓口であるかのごとく、不満、不平がわれわれのところに集中したのだ。
わたしを含む多くの記者ブロガーは、そうした読者、視聴者の感情にどう対応していいのか分からず途方に暮れた。議論のマナーやエチケットに欠くコメントも多く、中には名誉毀損と思われるコメントもある。感情的なコメントについつい感情的に反応してしまう。しかしそうすることで、騒ぎはさらに拡大し、批判的なコメントが殺到する。いわゆる「ブログの炎上」である。記者ブログ以外のブログが炎上することもなくはないが、記者ブログが炎上する割合は明らかに高かった。
最初に炎上した記者ブログは、共同通信編集委員室の「署名で書く記者の『ニュース日記』」だろうと思う。このブログが開設されたのは2004年3月と非常に早い。記者ブログの草分け的存在だと思う。当初執筆していたのは、小池新編集長と伊藤圭一記者の二人。このうち小池編集長のエントリー(書き込み)が集中砲火に遭った。
問題のエントリーは、6月26日に小池編集長者が書いた「『社長日記』に異議アリ!」というものだった。ライブドアの堀江貴文社長が、自分自身のブログ「社長日記」の中でそのセレブな生活ぶりを書き連ねていることに対し、小池編集長が次のように批判したのだった。
これに対しては26日には1件のトラックバックがついたきり。それまであまりアクセス数のなかったブログなので、それほど波紋を呼ばなかったのだろう。このトラックバックは「livedoorの今の目的」という題名で、その内容は、社長を前面に出して知名度を上がる必要がライブドアにあるのではないか、という指摘だった。
このトラックバックに対し小池編集長は27日のエントリーで次のように答えている。
一方、堀江社長が小池編集長のエントリーの存在を知ったのは、堀江社長の「社長日記」のコメント爛によせられた1件のコメントだったのではないかと思われる。この辺りの経緯は、FiresideChatというブログが非常に丹念に記録している。このブログの記録に基づいて、このあとの経緯をみていこう。
まず28日に堀江社長のブログに「読んでいる人たちにはぜひ言いたい。こんなのにだまくらかされていてはいけない!・・と共同通信編集委員室の編集長さんが言っておりました」というコメントが寄せられている。
このコメントに応える形で、堀江社長は29日になって、自分のブログのコメント爛に「共同通信編集委員室の編集長さんのblog面白かったです。ははは。後でblogでトラックバックしてみますわ」というコメントを残している。
そして29日の早朝に27日付のエントリーとして「社長日記」に次のように書いている。
真っ向から感情的に反論するのでもない。非常にさらっと受け流した感じだ。
堀江社長のこのエントリーが掲載されて間もなく、ヤフー掲示板上で小池編集長と堀江社長のこのやりとりが取り上げられている。
共同通信編集委員室の「署名で書く記者の『ニュース日記』」にもコメントやトラックバックが多く寄せられ始めた。
さらに追い討ちをかけるかのように、6月30日には、ライブドアが近鉄バッファローズの買収に乗り出したという大ニュースが流れた。球団オーナーがライブドアを拒否するという構図は、「エスタブリッシュメント」対「新興企業」、「老人」対「若者」という対立の構図に受け止められた。「エスタブリッシュメント」に対する行き場のない不満が、共同通信という報道機関をも「エスタブリッシュメント」とみなし、共同通信の「署名で書く記者の『ニュース日記』」に流れ込んだ。
このことはコメント数などの推移をみても明らかだ。この騒動以前の6月24日に小池編集長は「それでも選挙に行く!?」というエントリーを書いている。このエントリーには、コメントが2件、トラックバックが7件しかついていない。あまり人気のないブログだったので、コメント、トラックバックともにそう多くなかった。
ところが26日の問題のエントリー「「『社長日記』に異議アリ!」にはコメント157件、トラックバック44件がついている。ものすごい反響だ。急に注目のブログになってしまったわけだ。
27日のエントリー「『会社の戦略』!?」には、コメント137件、トラックバック34件がついている。
28日に小池編集長は「現状に不満だから投票に行く?」とまったく別の話題を提供している。それでもコメントは31件、トラックバックは2件。ほとんどのコメント、トラックバックの内容は、この日のエントリーに対するものではなく、前日、前々日のエントリーに関するものだ。
そして近鉄買収に乗り出したニュースが流れた30日。小池編集長は「この『3人』と日本の近代」という別の話題を提供している。ライブドアとは無縁の話題だ。それでも社長日記の件に関するコメント、トラックバックが殺到した。コメント数は457件、トラックバック数は20件というものすごい数になってしまった。
30日のエントリーのコメントは、そのほとんどが罵詈雑言。読んでいて決して楽しいものではない。どのようなコメントかを分かっていただくため、幾つか紹介しよう。「こんなくだらない文章は私に言わせれば『スノッブ』だな」「多くの人はそもそもそんなことを公に投稿するあなたにマスコミ特有の押し付けがましさ、いやらしさ、嫌味、反吐が出るほどの傲慢さを感じているのですから・・・・」「あんたは社会に老害を与えてるだけの存在なんだから、さっさと引退しろ」・・・。これらのコメントは、最悪の部類に属するものではない。つまりもっとひどいコメントも多く寄せられたのだ。
こうしたコメントやトラックバックの嵐が収まりそうもない中、「署名で書く記者の『ニュース日記』」は更新を停止した。次にエントリーを掲載したのは、8月末。2カ月間にわたって更新を停止したわけだ。
脚注:署名で書く記者の「ニュース日記」の問題のエントリー「『社長日記』に異議アリ!」(2004年6月26日)
http://chk.livedoor.biz/archives/3212621.html
同じく27日のエントリー「『会社の戦略』!?」
http://chk.livedoor.biz/archives/3375631.html
FiresideChatの「共同通信記者ブログのライブドア騒動」
http://blog.goo.ne.jp/ccproducer/e/ce565d360692b74837803ea256cf06ef
6月24日に小池編集長は「それでも選挙に行く!?」
http://chk.livedoor.biz/archives/2812485.html
著者注:本として出版するための原稿ですが、未完成なものです。間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。「過去エントリをそのまま記録として残すべきだ」「細かな修正を加えるたびにPINGが飛び、RSSリーダーにほぼ同じ原稿が表示されるので困る」などという意見をいただきましたので、ご意見、ご指摘をいただいても、エントリ自体を修正しないことにしています。ですが、建設的なご指摘、ご意見は、最終原稿に必ず反映させるつもりです。繰り返しになりますが、本エントリは未完成原稿です。引用を希望される場合は、脚注にある原典に当たられることをお勧めします。
参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
一般市民の情報発信がジャーナリスティックな活動を始める中で、既存のマスメディア企業はどう対応すればいいのだろうか。
市民ジャーナリズムと既存の商業ジャーナリズムは敵対関係になるのか。それとも、それぞれが強みを発揮するいい意味での補完関係になるのだろうか。
その答えは、1つには既存ジャーナリズムが市民ジャーナリズムとどれだけ対話するかにかかっている、とわたしは考えている。既存ジャーナリズムは権力の番人ではなく、権力側の存在になってしまったと多くの人は感じている。そう考える人が多ければ多いほど、市民ジャーナリズムは既存ジャーナリズムに対して牙をむくだろう。既存ジャーナリズムが権力側でなく市民側に立っていると広く認識してもらうためには、まず市民との対話を始めなければならないと思う。
また市民ジャーナリズムと既存ジャーナリズムの今後の関係を占う上でのもう1つの重要なポイントは、既存ジャーナリズムが新しい時代にあったビジネスモデルを構築できるかどうかだと思う。日露戦争以来変化していないといわれる新聞事業のビジネスモデルは、当然のことながらひずみが生じ始めている。ここまで長い間、1つのビジネスモデルがよくもったと言うべきかもしれない。それだけすばらしいビジネスモデルだったのだろうが、インターネットという新しい情報流通の仕組みが普及したこともあり、そろそろ新しいビジネスモデルが必要な時期にきていると思う。
もし新しいビジネスモデルが構築できないのであれば、経営状況が悪化することになるだろう。そうなれば経費が削減される。過度の経費削減は、ジャーナリズムの質の低下を招きかねない。既存ジャーナリズムの質が低下すれば、市民ジャーナリズムによる糾弾を招くことになるだろう。いい意味でのライバル関係ならいいのだが、単なる誹謗中傷、足のひっぱり合いなどの不健全な関係になりはしないだろうか。
市民が情報を発信する際のマナーやルールがまだ完全に確立していない段階で、価値ある情報を探し出す優れた仕組みがまだ完全に完成していない段階で、既存ジャーナリズムが弱体化すればどうだろう。一時的にジャーナリズムが機能しない時期がくるのではなかろうか。そのことは社会にとっての悲劇となりはしないだろうか。
こうした状況の中、既存の商業ジャーナリズムに所属する自分は何をすればいいのだろうか。何をしなければならないのだろうか。
わたし自身、明確な答えを持っているわけではない。しかし対話の促進と、ビジネスモデルの確立のために自分のできることはすべきだと思っている。
立ち止まっているわけにはいかない。とにかく動き出さなければ。特に深い考えもないまま、見よう見まねでブログを始めることにした。
日本のブログブームの始まりは2003年の秋ごろからといわれる。それ以前にも米国製のブログ作成ソフトを使ってブログをやっている人たちはいたが、一般ユーザーにまで普及し始めたのは大手プロバイダーなどが無料のブログ作成・ホスティングサービスを始めてからである。わたしもこの機会に最初のブログを立ち上げ、半年ほどした2004年5月に参加型ジャーナリズムの問題に特化した「ネットは新聞を殺すのかblog」というブログを別に立ち上げた。
記者が実名でブログを書いていいのか。記者であることを明かすべきなのか。所属する組織の許可を得るべきなのか。そうしたコンセンサスがまったく確立していないにもかかわらず、とりあえずこの新しいツールを使って情報発信を始めることにしたのだ。
わたし以外にも、何人かの記者が同じ時期にブログを立ち上げていた。その動機はそれぞれ異なっていたとしても、組織を通じてではなく自分の言葉で語りたいという思いは共通していたのだと思う。
われわれプロの記者を迎えたネットの住民たちの態度は、必ずしも友好的ではなかった。ネット上に鬱積していたマスコミに対する不満、不信感といった感情が、記者運営のブログのコメント欄に雪崩のごとく押し寄せることがしばしばあった。マスコミはこれまで読者、視聴者との双方向の対話をほとんど行ってこなかったのかもしれない。それでまるでわれわれ記者ブロガーのブログが、かすかに開いたマスコミの代表窓口であるかのごとく、不満、不平がわれわれのところに集中したのだ。
わたしを含む多くの記者ブロガーは、そうした読者、視聴者の感情にどう対応していいのか分からず途方に暮れた。議論のマナーやエチケットに欠くコメントも多く、中には名誉毀損と思われるコメントもある。感情的なコメントについつい感情的に反応してしまう。しかしそうすることで、騒ぎはさらに拡大し、批判的なコメントが殺到する。いわゆる「ブログの炎上」である。記者ブログ以外のブログが炎上することもなくはないが、記者ブログが炎上する割合は明らかに高かった。
最初に炎上した記者ブログは、共同通信編集委員室の「署名で書く記者の『ニュース日記』」だろうと思う。このブログが開設されたのは2004年3月と非常に早い。記者ブログの草分け的存在だと思う。当初執筆していたのは、小池新編集長と伊藤圭一記者の二人。このうち小池編集長のエントリー(書き込み)が集中砲火に遭った。
問題のエントリーは、6月26日に小池編集長者が書いた「『社長日記』に異議アリ!」というものだった。ライブドアの堀江貴文社長が、自分自身のブログ「社長日記」の中でそのセレブな生活ぶりを書き連ねていることに対し、小池編集長が次のように批判したのだった。
内容はといえば「トータルワークアウト」をやって筋肉がどうなったの、上海に行って何を食ったの、マッサージがどうの、映画や芝居を見てどうだったのだ。
もちろん、ご商売のことも書いておられるが、はっきり言って、これこそ「スノッブ」以外の何ものでもないと僕には思える。要するに「成功した青年実業家とは、こういうふうにしているものなんだよ」というやつだ。たしかに、livedoorはBlogで成功しているようだし、僕もこうした新しいメディアが広がってほしいとは思う。が、そのこととこのことは全く別だ。いかに商売がうまくいっているといっても、この程度の内容を載せて、結果的に若い人たちをだまくらかすのはちょっとどうかと思う。さらに言えば、社長の日記をトップページにシルエット入りで紹介しているというのは、一体どういう神経だろうか。
ちょっと言いすぎたかもしれないが、こういうのが鼻持ちならないというやつだ。読んでいる人たちにはぜひ言いたい。こんなのにだまくらかされていてはいけない!
これに対しては26日には1件のトラックバックがついたきり。それまであまりアクセス数のなかったブログなので、それほど波紋を呼ばなかったのだろう。このトラックバックは「livedoorの今の目的」という題名で、その内容は、社長を前面に出して知名度を上がる必要がライブドアにあるのではないか、という指摘だった。
このトラックバックに対し小池編集長は27日のエントリーで次のように答えている。
web上の文章もまた、書いた人間を表す。「文章は人」だからだ。長い(ただ長いだけだが)記者経験から、僕にはそれが分かる。だから、この「社長日記」の文章を読めば、この堀江というlivedoorの社長さんの人間が読める。人間は、どんなに背伸びをしても、正体を隠そうとしたとしても、しょせん、その人間以上の文章は書けないのだ。
また、会社の戦略であろうが、書いたものレベルが低いことの言い訳にはならない。以上をトータルして、僕はこの「社長日記」の内容は「スノッブ」そのものだし、鼻持ちならないと思う。それはたぶん、この社長さんの人間自体がそうだからだ。
一方、堀江社長が小池編集長のエントリーの存在を知ったのは、堀江社長の「社長日記」のコメント爛によせられた1件のコメントだったのではないかと思われる。この辺りの経緯は、FiresideChatというブログが非常に丹念に記録している。このブログの記録に基づいて、このあとの経緯をみていこう。
まず28日に堀江社長のブログに「読んでいる人たちにはぜひ言いたい。こんなのにだまくらかされていてはいけない!・・と共同通信編集委員室の編集長さんが言っておりました」というコメントが寄せられている。
このコメントに応える形で、堀江社長は29日になって、自分のブログのコメント爛に「共同通信編集委員室の編集長さんのblog面白かったです。ははは。後でblogでトラックバックしてみますわ」というコメントを残している。
そして29日の早朝に27日付のエントリーとして「社長日記」に次のように書いている。
そうそう、このblogへのコメントで「署名で書く記者の云々」というblogで私の日記のことが書かれているらしく見に行ってみる。なんか鼻持ちならない人間らしい>自分。こんなこと言われたのはじめてかも。感動。もっと感動したのはスノッブだといわれたこと。
真っ向から感情的に反論するのでもない。非常にさらっと受け流した感じだ。
堀江社長のこのエントリーが掲載されて間もなく、ヤフー掲示板上で小池編集長と堀江社長のこのやりとりが取り上げられている。
共同通信編集委員室の「署名で書く記者の『ニュース日記』」にもコメントやトラックバックが多く寄せられ始めた。
さらに追い討ちをかけるかのように、6月30日には、ライブドアが近鉄バッファローズの買収に乗り出したという大ニュースが流れた。球団オーナーがライブドアを拒否するという構図は、「エスタブリッシュメント」対「新興企業」、「老人」対「若者」という対立の構図に受け止められた。「エスタブリッシュメント」に対する行き場のない不満が、共同通信という報道機関をも「エスタブリッシュメント」とみなし、共同通信の「署名で書く記者の『ニュース日記』」に流れ込んだ。
このことはコメント数などの推移をみても明らかだ。この騒動以前の6月24日に小池編集長は「それでも選挙に行く!?」というエントリーを書いている。このエントリーには、コメントが2件、トラックバックが7件しかついていない。あまり人気のないブログだったので、コメント、トラックバックともにそう多くなかった。
ところが26日の問題のエントリー「「『社長日記』に異議アリ!」にはコメント157件、トラックバック44件がついている。ものすごい反響だ。急に注目のブログになってしまったわけだ。
27日のエントリー「『会社の戦略』!?」には、コメント137件、トラックバック34件がついている。
28日に小池編集長は「現状に不満だから投票に行く?」とまったく別の話題を提供している。それでもコメントは31件、トラックバックは2件。ほとんどのコメント、トラックバックの内容は、この日のエントリーに対するものではなく、前日、前々日のエントリーに関するものだ。
そして近鉄買収に乗り出したニュースが流れた30日。小池編集長は「この『3人』と日本の近代」という別の話題を提供している。ライブドアとは無縁の話題だ。それでも社長日記の件に関するコメント、トラックバックが殺到した。コメント数は457件、トラックバック数は20件というものすごい数になってしまった。
30日のエントリーのコメントは、そのほとんどが罵詈雑言。読んでいて決して楽しいものではない。どのようなコメントかを分かっていただくため、幾つか紹介しよう。「こんなくだらない文章は私に言わせれば『スノッブ』だな」「多くの人はそもそもそんなことを公に投稿するあなたにマスコミ特有の押し付けがましさ、いやらしさ、嫌味、反吐が出るほどの傲慢さを感じているのですから・・・・」「あんたは社会に老害を与えてるだけの存在なんだから、さっさと引退しろ」・・・。これらのコメントは、最悪の部類に属するものではない。つまりもっとひどいコメントも多く寄せられたのだ。
こうしたコメントやトラックバックの嵐が収まりそうもない中、「署名で書く記者の『ニュース日記』」は更新を停止した。次にエントリーを掲載したのは、8月末。2カ月間にわたって更新を停止したわけだ。
脚注:署名で書く記者の「ニュース日記」の問題のエントリー「『社長日記』に異議アリ!」(2004年6月26日)
http://chk.livedoor.biz/archives/3212621.html
同じく27日のエントリー「『会社の戦略』!?」
http://chk.livedoor.biz/archives/3375631.html
FiresideChatの「共同通信記者ブログのライブドア騒動」
http://blog.goo.ne.jp/ccproducer/e/ce565d360692b74837803ea256cf06ef
6月24日に小池編集長は「それでも選挙に行く!?」
http://chk.livedoor.biz/archives/2812485.html
著者注:本として出版するための原稿ですが、未完成なものです。間違いの指摘やご意見をいただければ幸いです。「過去エントリをそのまま記録として残すべきだ」「細かな修正を加えるたびにPINGが飛び、RSSリーダーにほぼ同じ原稿が表示されるので困る」などという意見をいただきましたので、ご意見、ご指摘をいただいても、エントリ自体を修正しないことにしています。ですが、建設的なご指摘、ご意見は、最終原稿に必ず反映させるつもりです。繰り返しになりますが、本エントリは未完成原稿です。引用を希望される場合は、脚注にある原典に当たられることをお勧めします。
参考「本を書きます」
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
by tsuruaki_yukawa
| 2006-01-05 07:00
| 本の原稿