目指せ!コンテンツ・ディストリビューター |
①ファシリティ・プロバイダー、②サービス・プロバイダー、③コンテンツ・ディストリビューター、④コンテンツ・プロバイダーの4つ。
分かりやすいところから説明していくと、①のファシリティ・プロバイダーは例えば通信回線事業者。インターネット通信回線を実際に保有する企業。NTTなどがそうだ。
②のサービス・プロバイダーは、NTTなどの通信回線を借りてサービスを提供する会社などのこと。ニフティーなどのネット接続業者がこれになる。
③はとばして④。④はコンテンツ製作者。アニメハウスとかがそうだ。新聞社もこれになる。
さて③のコンテンツ・ディストリビューターは、新しい分野。これからいろいろなコンテンツ・ディストリビューターが登場するとみられる。音楽の世界ではアップルコンピュータのミュージックストアという音楽配信サイトがこれに当てはまる。①の通信回線を通じて提供される②のインターネット接続サービスを通じて、④の音楽会社から提供される楽曲を販売するサイトだ。①でもなく、②でもなく、④でもない。コンテンツ・ディルトリビューターという新しいジャンルになる。
新聞記事のコンテンツディストリビューターといえば、ヤフーの新聞記事横断検索や、日経テレコンが挙げられる。ヤフーの新聞記事横断検索は、読売新聞、毎日新聞、産経新聞の過去記事2年分を検索できて、月額1890円。読売新聞が独自にデータベースを構築し、顧客管理するのは大変。そこでそういう部分はヤフーに任せて、コンテンツ・プロバイダーに専念するという選択だ。
わたしは、今後の技術革新に伴って新しい形のコンテンツ・ディストリビューターが次々と登場してくると思う。例えば企業イメージを分析するためのツールを提供するビジネスはどうだろう。新聞や雑誌記事に加えて、電子掲示板やブログの書き込みまで検索し、企業や商品イメージがどう変化していっているかをリアルタイムで判定するようなサービスだ。
こうしたコンテンツ・ディストリビューターは技術に長けた企業でないとつとまらないので、尻込みする新聞社が多いだろう。この論文の著者も、コンテンツ・プロバイダーではなく、サービス・プロバイダーなどがコンテンツ・ディストリビューター事業に乗り出す可能性が高いとみている。
だがコンテンツ・ディストリビューターは収益性の高いビジネスになる可能性がある。1社くらい新聞社が果敢に挑戦してもいいのではなかろうか。
そうでなければコンテンツ・プロバイダーとしての新聞社の行く末は見えている。大手は、デジタル事業が主流となる中での紙というアナログ事業を守り通すこと。今後の成長はあまり期待できそうにない。
そして大手以外は、徹底したコスト管理が必要なニッチ事業という手しかない。新規参入者との間の競争が激化し、こちらも大変そうだ。
まだ今なら間に合う。新聞社は技術部門を強化してコンテンツ・ディストリビューターを目指すべきではないのだろうか。