ファクティバといえば、ロイター通信とダウジョーンズの合弁会社で、同名のニュースデータベースを運営する会社。データベースサービスは、日経テレコンのもっと規模の大きなものと考えればいい。そのファクティバの幹部が検索エンジンに関して意見を述べている。米ＣＮＥＴの記事の
翻訳記事「ファクティバ幹部：『グーグルは脅威でない』」。
ファクティバは、世界中の報道機関から記事の使用権を得たものをデータベースに格納し、それをビジネスマン向けに有料で提供している。
一方、グーグルはネット上のニュースの見出しと本文の一部を集めてきてニュースサイトを構築している。もちろんネット上のニュースの検索が可能。報道機関に対してニュースの使用料を支払わないし、ユーザーからも使用料を取らない。
グーグルの無料ビジネスモデルの登場で、ファクティバの有料ビジネスモデルは崩壊するという見方があるので、それに対するファクティバの反論、というのがこの記事の内容だ。
「無料検索サービスは一般的な情報を検索するには便利だが、ニュース検索を行うにはもっと複雑なアプローチが必要だ」
Google Newsといった無料検索サービスは、4500以上のニュースサイトへのインデックスを提供すると言われているが、購読契約が必要なサイトのニュースにはアクセスできないといった制限がある。「より多くのパブリッシャーが、自分たちのコンテンツに価値があると認識し始めている。高品質の情報が無料になるまでには、まだ長い時間がかかる」
最終的な企業内検索システムでは、例えば会議のスケジュールをベースにして、クエリを前もって予測することが可能になるだろうとHartは予測する。「将来、検索ボックスの裏にある技術はもっと賢くなるだろう。すでに、たくさんの技術が存在している。現在では、課題が、アプリケーションレベルにまで達している」
「いずれダイナミックなフロントエンドが登場するだろう。（そのフロントエンドは）利用するのが誰で、どういう目的で利用するかによって変化する。Bill Gatesでさえ、あなたに合うサイズはいつでもこれ一つだとは言わないだろう」
確かに検索システムには、改善の余地がある。米調査会社IDCによる2003年の調査結果によると、ビジネス関連検索の50％が失敗に終わっているという。
翻訳記事なので日本語の表現がいまひとつ分かりにくい部分があるが、つまりファクティバ幹部は次のようなことを言っているのだと思う。
「グーグルの無料ニュース検索もいいけれど、ネット上の有料ニュースは検索できないだろ。ファクティバなら有料ニュースも検索できるんだぜ。すべてのニュースが無料になることはまずありえない。だからファクティバの優位性は変わらないんだ。ビジネスマンは欲しい情報が確実に短時間で入手できるのなら、ニュース検索にお金を払うものさ」
「それに検索技術はまだまだ改良の余地がある。そのうちに検索エンジンがユーザーのスケジュールを把握して、会議の前には会議の議題を理解しその会議に必要な情報を自動的に検索してくれる、てなこともできるようになるんじゃないかな。いろんな技術が既に開発されているし、ビジネスニュース検索という特定の用途に合った検索技術が次々登場してくると思うよ。特定の用途に限定すれば、グーグルよりも使い勝手のいいものがどんどん出てくる。ファクティバはそのときどきでビジネスニュースに最適の検索技術を搭載していく方針さ。だから、一般大衆向けのグーグルなんて脅威でもなんでもないよ」
ここまで挑発的な表現を使うかどうかは分からないけど、まあこんなことを考えているのではなかろうか。
というわけで、やはりファクティバも検索技術には注目している。このブログでも検索技術の動向は、追っていきたいと思う。
